アニメや映画を鑑賞するなかで、「ストップモーションとは?」と疑問を感じる方も多いでしょう。

ストップのモーション…なんとなく…わかる!
結論、「ストップモーション」とは被写体を少しずつ動かしてコマ撮りで撮影し、連続再生することで動いているように見せる映像制作の方法です。
アニメや映画をより楽しむには、ストップモーションの特徴や種類を把握しておきたいもの。
そこで今回は、「ストップモーションとは?」をテーマに特徴・種類・アニメや映画の例を紹介します。ストップモーションの魅力も解説するので、参考にしてください。
- 「ストップモーション」とは、フィギュアや実在の俳優などの被写体をコマ撮りで撮影し、連続再生することで動いているかのように見せる映像制作の方法を指します。
- ストップモーションの種類として、粘土を使った「クレイアニメーション」や切り抜いた平面のパーツを動かす「切り絵アニメーション」などを紹介します。
- ストップモーションの映画・アニメをお伝えするので、チェックしましょう。
ストップモーションとは【特徴】

ストップモーションの特徴を、以下の点から解説します。
- 映画・アニメの場合
- コマ撮りとの違い
それぞれのポイントを押さえて、ストップモーションについて理解を深めましょう。
映画・アニメの場合
映画・アニメにおけるストップモーションの定義は、以下のとおりです。
ストップモーション【映画・アニメ】
人形や粘土などの被写体を少しずつ動かしてコマ撮りで撮影し、連続再生することで動いているかのように見せる映像制作の方法
また、ストップモーションは、SFX(特殊撮影)の分類に含まれます。
ストップモーションは、「コマ撮り」とも呼ばれます。映像における「コマ」とは映像を構成する静止画のことで、たとえばアニメでは1秒あたり24コマ(24枚の静止画)が一般的です。
なお、ストップモーションは基本的に1秒あたり5枚の静止画(1枚あたり約0.2秒)が目安とされています。1秒5枚だとすると10分で3,000枚(5枚×600秒)の静止画が必要です。

何気なく見てるけど、すごい労力でできている…!
コマ撮りとの違い
アニメ・映画における「ストップモーション」と「コマ撮り」は同義語で、被写体を少しずつ動かして撮影し、連続再生する映像制作の方法を指します。
コマ撮りで撮影された最古の作品は「The Humpty Dumpty Circus(ハンプティ・ダンプティ・サーカス)」(1898年)とされており、長い歴史を持ちます。
現代ではCGなどのVFX(視覚効果)が台頭しているものの、コマ撮りの作品は手づくりならではの味わいが感じられ、現在でも根強い人気があります。
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ストップモーションの種類

ストップモーションの種類として、以下を紹介します。
- パペットアニメーション
- クレイアニメーション
- 切り絵アニメーション
- ピクシレーション
それぞれの内容をチェックしましょう。
パペットアニメーション
ストップモーションにおける「パペットアニメーション」は、人形ぬいぐるみを使ってコマ撮り撮影した映像のことです。
近年ではSNSや動画サイトで個人で作品を公開しているケースもあり、プロだけではなく個人レベルでも取り組みやすいストップモーションだといえます。
また、フィギュアを使ってストップモーションを制作することで、アニメや漫画のキャラクターが立体的に動いているような映像をつくり出せます。
クレイアニメーション
ストップモーションの「クレイアニメーション」とは、粘土でつくられた人形などを使用したコマ撮りの映像のことです。
粘土で人形をつくる手間はもちろん、粘土が撮影の途中で形状変化するリスクがあるなど、多くの労力を必要とします。
教育テレビでもたびたびクレイアニメーションが放映されており、「ニャッキ!」や「ひつじのショーン」などが有名です。また、劇場版クレヨンしんちゃんの石田卓也によるクレイアニメに見覚えがある方も多いでしょう。
切り絵アニメーション
「切り絵アニメーション」とは、以下から切り抜いた平面のパーツを動かしながら撮影するストップモーションの映像です。
- 紙
- 布
- カード
- 写真
セルアニメーションが流行する前は、切り絵アニメーション(カットアウトアニメーション)が手法として採用されていました。なお、現代のアニメやドラマの一部において切り絵アニメーションが使われているケースがあります。
切り絵アニメーションの代表的な作家には、「霧につつまれたハリネズミ」で有名なユーリ・ノルシュテインがいます。
ピクシレーション
「ピクシレーション」とはストップモーションの一種で、実在する俳優・ミュージシャンなどをコマ撮りで撮影して制作する映像です。
飛び上がった映像をつなげることで空中を飛んでいるような映像がつくれるなど、ユーモアにあふれた作品をつくれるのが特徴です。
また、ピクシレーションはミュージックビデオで利用されるケースが多く、たとえばOK Goの「End Love」をチェックしてみましょう。

OK Goはその他にも長回しや一発撮りなど、凝ったミュージックビデオで有名です。
ストップモーションの魅力

ストップモーションの魅力は、以下のとおりです。
- 手作りならではの「可愛さ」「ユーモアさ」がある
- 上映分数が短くて見やすい
それぞれのポイントについて解説します。
手作りならではの「可愛さ」「ユーモアさ」がある
人形や切り絵などの被写体を少しづつ動かして作品を制作している「ストップモーション」は、手作りならではの「可愛さ」「ユーモアさ」があるのが魅力です。
とくに粘土や人形を作品のためにゼロからつくり、コマ撮りで制作された映画・アニメは唯一無二の雰囲気を持っています。
また、監督のこだわりにあふれており、エンタメでありながらも作家性や芸術性を感じられます。
上映分数が短くて見やすい
ストップモーションは手間がかかる分、上映分数が短いため鑑賞しやすいのもメリットです。
「ストップモーションの映画・アニメ」の次の章で紹介する作品では長くても80分程度で、だれずに最後まで見れます。
また、激しいアクションをともなうような作品ではなく、絵本のような世界観や日常を描いた作品が多いため、鑑賞後に疲労感を感じにくいといえます。
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ストップモーションの映画・アニメ

ストップモーションの映画・アニメとして、以下の作品を紹介します。
- リラックマとカオルさん【Netflixオリジナル】
- ぼくの名前はズッキーニ
- ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~
- ティム・バートンのコープスブライド
「ストップモーションの映画・アニメを実際に見てみたい」とお考えの場合は、ぜひ参考にしてください。
リラックマとカオルさん【Netflixオリジナル】
あの人気キャラクター「リラックマ」のストップモーションアニメは、Netflixオリジナルの作品です。「リラックマとカオルさん」の概要を、チェックしましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
作品名(年数) | リラックマとカオルさん(2019年) |
監督名 | 小林雅仁 |
話数 | 全13話 |
「リラックマ」とリラックマと同居している「カオルさん」の何気ない日常が描かれており、“癒ししかない”ストップモーションアニメです。
コリラックマやキイロイトリといったお馴染みのキャラクターも出演し、リラックマが日常に溶け込んでいます。なお、続編として「リラックマと遊園地」が2022年に配信されています。
ぼくの名前はズッキーニ
「ぼくの名前はズッキーニ」は2016年公開のクロード・バラス監督によるストップモーションアニメで、概要は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
作品名(年数) | ぼくの名前はズッキーニ(2016年) |
監督名 | クロード・バラス |
分数 | 65分 |
母親を亡くした少年が、孤児院で周囲の人々と触れ合いながら成長する姿を描いています。また、「ぼくの名前はズッキーニ」は第89回アカデミー賞の長編アニメーション部門にノミネートされました。
ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~
「ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~」は、2015年に公開された人気作品のストップモーションアニメです。概要をチェックしましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
作品名(年数) | ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~(2015年) |
監督名 | マーク・バートン リチャード・スターザック |
分数 | 85分 |
牧場主を寝かせたままのキャンピングカーが都会に向かって走り出し、その車を追いかけるひつじのショーンたちを描いたコメディ映画です。第19回トロント映画批評家協会賞でアニメーション映画賞を受賞しました。
ティム・バートンのコープスブライド
言わずと知れた鬼才・ティム・バートン監督による「ティム・バートンのコープスブライド」は、以下のように2005年公開のストップモーションアニメです。
項目 | 内容 |
---|---|
作品名(年数) | ティム・バートンのコープスブライド(2005年) |
監督名 | ティム・バートン |
分数 | 76分 |
「ティム・バートンのコープスブライド」は、死体であるエミリーに結婚の誓いを立てた青年が死者の世界に引き込まれるダークファンタジーを描いています。
声優にジョニー・デップやヘレナ・ボナム=カーターの豪華キャストが抜擢されたことでも、話題となりました。
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ストップモーションに関するQ&A

最後に、ストップモーションに関するよくある質問を解説するので、疑問を解消しましょう。
ストップモーション1秒に何枚ある?
ストップモーションは、1秒あたり5枚の静止画(1枚あたり約0.2秒)が目安とされています。
ただし、上記は目安で「動きをより滑らかにしたい」と考える場合は、枚数を増やす必要があります。
タイムラプスとストップモーションの違いは?
タイムラプスとストップモーションの違いは、「カメラの設定方法」と「被写体」にあります。
「タイムプラス」とは、固定カメラで被写体の変化を定点観測することを指します。また、被写体は長時間にわたって変化する空・植物・風景・制作過程などが最適です。
一方で、「ストップモーション」とは、人形などの被写体をコマ撮りで撮影し、連続再生することで動いているかのように見せる映像制作の方法を意味します。
まとめ

「ストップモーション」とは、被写体を少しずつ動かしてコマ撮りで撮影し、連続再生することで動いているように見せる映像のことです。
ストップモーションの種類には、人形やフィギュアを使った「パペットアニメーション」や実物の俳優で撮影する「ピクシレーション」などがあります。
また、ストップモーションは手作りならではの「可愛さ」「ユーモアさ」を感じられるのが魅力です。今回の記事を、映画ライフを楽しむ参考にしてください。
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