「何気なくシネコンやミニシアターと呼んでるけど、そもそも映画館の種類にはどんなものがある?」と疑問に思う方も多いでしょう。
毎度、毎度のことながら、何となく分かる!
結論、映画館の主な種類は「シネマコンプレックス」「一般館(ミニシアター・名画座など)」に分類できます。
映画好きなら、映画館の種類についても詳しく知っておきたいもの。
そこで今回は、映画館の種類・上映形式・よくある質問を解説するので、参考にしてください。
映画館の主な種類
映画館の主な種類は、以下の2つです。
それぞれについて詳しく解説していきます。
種類①シネマコンプレックス|概ねスクリーン数が5つ以上の映画館
シネマコンプレックスとは同一の施設内に複数のスクリーンを持つ映画館のことで、略称である「シネコン」や「複合映画館」と呼ばれるケースもあります。
さまざまな定義があるものの、概ね5つ以上のスクリーンを持つ映画館をシネマコンプレックスとする傾向にあります。
日本の主なシネマコンプレックスは、以下の通りです。
また、映画館全体における営業形態の割合は、以下の通りとなります。
種類 | 営業形態の割合 |
---|---|
シネマコンプレックス | 72.5% |
ミニシアター・単独館 | 24.8% |
その他 | 1.4% |
不詳 | 1.4% |
全体の約7割がシネマコンプレックスの形態をとっており、大きなウェイトを占めているのが特徴です。
また、映画の入場料の他にも、ライブビューイングや飲食物の料金も収入源となっています。
▼シネマコンプレックスでもお馴染みのポップコーンについてまとめた記事は、こちら。
種類②一般館|基本的にスクリーンが4つ以下の映画館
一般館とは基本的にスクリーンが4つ以下の映画館を指し、主な種類は以下の4つです。
それぞれについて詳しく解説していきます。
ミニシアター
ミニシアターとは、ブロック・ブッキングの形式を採用していない独立的な映画館で、「単館系」と呼ばれる場合もあります。
ブロック・ブッキングとは
映画作品における賃貸協定で、配給側が映画館側に複数作品を一括予約させるシステムのこと
ミニシアターではシネコンでは上映されない以下のような作品を上映しており、高いオリジナリティを持っています。
ミニシアターで上映したことをきっかけに有名となった作品も多く、例えば「ニュー・シネマ・パラダイス」「ベルリン・天使の詩」「アメリ」などがあります。
なお、ミニシアターのスペックの目安は、席数200以下・スクリーン1〜2個程度です。
名画座
名画座とは、旧作をメインに上映する映画館のことです。
作品公開後1年以内の作品を取り扱った映画館は「二番館」「三番館」と呼ばれていたものの、現在では名画座に含まれています。
上映作品の構成はさまざまですが、2〜3本立てで上映するのが一般的です。
近年では映画館で公開後すぐにAmazonプライムビデオなど動画配信サービスで見られるケースも多く、名画座も姿を消しつつあります。
▼Amazonプライムビデオについてまとめた記事は、こちら。
直営館
直営館とは、映画の製作配給会社が直営している映画館のことです。
かつては東宝・東映・松竹が直営していた映画館を意味しましたが、2024年4月時点では東映が2つ直営の劇場を持っているのみとなっています。
直営館は時代とともに、シネマコンプレックスに変化しているのが特徴です。
東宝では2006年・松竹では2011年頃にそれぞれTOHOシネマズ・松竹マルチプレックスシアターズに集約・移行しました。
参考元:東映株式会社|映画館
成人映画館
成人映画館とは、成人映画の上映を専門とする映画館のことです。
東京・大阪・名古屋などの都市部をメインに営業しているものの、動画配信やレンタルの普及とともに減少傾向にあります。
3〜4本立てで上映するケースが多く、女性は入場制限があるのが一般的です。
数は少ないものの新規営業スタートする劇場もあれば、成人映画館から名画座に転向する劇場もあります。
映画館の上映方式
映画館の上映方式は、以下の通りです。
上映方式 | 特徴 |
---|---|
IMAX | 高精細な映像を高品質な音響で楽しめるシステム 大型スクリーンで鑑賞できる |
Dolby Atmos | 頭上や周囲に設置された個別スピーカーを駆使して、音の移動を体感できる リアルで臨場感あふれる音で映画を楽しめる |
Dolby CINEMA | 最新技術を採用したHDR映像とDolby Atmosが合体したシステム 全国で10館が対応している(2024年4月時点) |
SCREEN X | 正面・左右の3方向にスクリーンが設置された次世代型映画上映システム 270度の視界が映像で覆われるため没入感が高い |
映画館オリジナルシステム | TOHOシネマズの「TCX」やイオンシネマの「ULTIRA」など |
IMAXは全国各地に対応した映画館があるため、知っている方も多いでしょう。
一口にIMAと言っても「IMAXデジタルシアター」「IMAXレーザー」「IMAXレーザー/GTテクノロジー」の3種類があり、全国的に普及しているのは「IMAXレーザー」です。
音の移動がすることで臨場感を醸し出す「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」なども人気があり、導入館が増えつつあります。
SCREEN Xは韓国のシネコンと大学が共同開発したシステムです。
SCREEN Xと4DXと組み合わせた「4DX SCREEN」も存在し、日々進化を遂げています。
映画館オリジナルの上映方式もあり、TOHOシネマズの巨大スクリーンで鑑賞できる「TCX」やイオンシネマの巨大スクリーンと立体音響が楽しめる「ULTIRA」などさまざまです。
▼IMAXについてまとめた記事は、こちら。
映画館の種類についてよくある質問
映画館の種類についてよくある質問は、以下の通りです。
それぞれの疑問について、解説していきます。
映画館のスクリーン数は全国でどれくらい?
一般社団法人日本映画製作者連盟によると、2023年12月末での全国のスクリーン数は合計3,653スクリーンです。
都道府県別に見ると東京都がトップで、以下の通りとなります。
都道府県 | スクリーン数 |
---|---|
東京都 | 413 |
愛知県 | 265 |
大阪府 | 241 |
埼玉県 | 226 |
神奈川県 | 221 |
全国のスクリーン数の約1割を東京都が占めており、他の都市部が続くかたちとなっています。
一般館とは何か?
一般館とは基本的にスクリーン数が4つ以下の映画館のことで、シネマコンプレックス以外の映画館は一般館となります。
一般館の主な種類は、以下の通りです。
名画座・直営館・成人映画館は存在する地域が限られるので、ミニシアターに馴染みのある方が多いでしょう。
一般館は、シネマコンプレックスにはない独自性あるラインナップが魅力です。
映画のレトロな言い方は?
映画のレトロな言い方は、「活動写真」です。
活動写真とは明治・大正期における映画の呼び名で、純文学などでもたびたび登場します。
夏目漱石の「硝子戸の中」においても活動写真が登場しており、以下の通りです。
まだ鶯が庭で時々鳴く。春風が折々思い出したように九花蘭の葉を揺(うご)かしに来る。猫がどこかで痛く噛まれた米噛を日に曝(さら)して、あたたかそうに眠っている。先刻(さっき)まで庭で護謨風船(ゴムふうせん)を揚げて騒いでいた小供達は、みんな連れ立って活動写真へ行ってしまった。
夏目漱石「硝子戸の中」
古典とされる純文学を読む際には、気を付けて読んでみてください。
純文学を読んでいると、タバコの銘柄に並んでよく登場する気がする。
まとめ
映画館の種類は、主に5つ以上のスクリーンを持つ「シネマコンプレックス」とスクリーン数が4つ以下の「一般館」の2つです。
一般館はさらに、以下のように分類できます。
- ミニシアター
- 名画座
- 直営館
- 成人映画館
また、映画館の上映方式には「IMAX」「Dolby CINEMA」「SCREEN X」などの種類があり、技術の進化が目覚ましいのもポイントです。
今回の記事を、映画ライフを楽しむ参考にしてください。
コメント