1814年に発表されたシャミッソーによる「影をなくした男」。そんなシャミッソーの「影をなくした男」が気になり、「要約を知りたい」とお考えの方も多いでしょう。

童話感覚で読めるけど、物語は超深い(語彙力)。
結論、シャミッソーの「影をなくした男」は、お金と自身の影を交換したペーター・シュレミールが波乱な運命をたどる物語です。
そこで今回は、シャミッソー「影をなくした男」の要約を解説します。実際に読破した感想・考察も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
※ストーリーの結末を記載しているため、「直接的なネタバレNG」という方はご注意ください。
シャミッソー「影をなくした男」の要約【ネタバレあり】

シャミッソー「影をなくした男」の要約は、以下のとおりです。
■「影をなくした男」の要約
自身の「影」と交換に、灰色の服の男から「幸運の金袋」を手に入れたペーター・シュレミール。お金に困らない代わりに、影なしのペーター・シュレミールは周囲から軽蔑の眼差しで見られ、人間関係も恋愛も上手くいかない。1年後に灰色の服の男が再度現れ、魂と交換で影を返却すると持ちかけられる。ペーター・シュレミールはその誘いを断り、魔法の靴とともに世界中を歩き回る。動物や植物を観察・研究する道を進み、お金や影なしという悩みから遠ざかる。
「影をなくした男」では、上記の内容がメルヘンタッチで描かれており、比較的読みやすい作品となっています。
「やべ、面白そう」と感じた方も多いでしょう、そうでしょう。
次の章以降で作品の詳しいあらすじを解説していくので、詳細に知りたい方は参考にしてください。
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シャミッソー「影をなくした男」の詳しいあらすじ

シャミッソー「影をなくした男」の詳しいあらすじは、以下のとおりです。
- 主人公であるペーター・シュレミールはトーマス・ヨーン氏の屋敷で不思議な「灰色の服を着た男」に出会う。その男は、ポケットから望遠鏡・テント・馬などを取り出した
- シュレミールは、その灰色の男から無限に金貨が出てくる「幸運の金袋」と自身の「影」を交換しないかと謎の取引きを持ちかけられて承諾する
- お金はあるが影なしとなったシュレミールは周囲から軽蔑の眼差しで見られる。信頼できる召使い・ベンデルの協力を得つつ、なんとか暮らしていたが、好意を抱いていたファニー嬢に影なしであることを知られてしまい逃亡する
- シュレミールは、別の町で善良で健気なミーナという女性に恋をする。しかし、ミーナとミーナの両親に影なしだとバレてしまい、「3日以内に影を取り戻さないと結婚は認められない」と要求される
- 影を交換してから1年後、シュレミールの前に、再度灰色の服の男が現れて、自身の「魂」と交換するなら影を返すと新たな取り引きが持ちかけられるが断る
- ミーナはシュレミールの召使いだった男で狡猾なラスカルと結婚することになった。シュレミールはベンデルにある程度お金を残して当地を離れる
- 灰色の服の男(悪魔)はシュレミールを追いかけて取り引きを迫る。トーマス・ヨーン氏も灰色の服の男の手に落ちており、例のポケットから血の気の失せたヨーン氏が出てきた。灰色の服の男に「二度と現れるな」と伝える
- 金も影もなくしたシュレミールは、靴屋で1歩で7里歩ける魔法の靴を手に入れて世界中を歩き回り、動物や植物を観察・研究する。道中、具合を悪くして入院した病院はベンデルがシュレミールのお金を活用したもので、ミーナも慈善事業に力を入れていることを知る
- 再びペーター・シュレミール旅と研究の道に戻り、最後にこの不思議な物語を友人・シャミッソーに託すと手紙のように締める
物語自体は120ページくらいのコンパクトなボリュームですが、上記のように内容が詰まりに詰まりすぎています。

読書中に震えて寝ていた感想は次の章で。
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シャミッソー「影をなくした男」の感想・考察

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作者/作品名 | シャミッソー/影をなくした男 池内紀 訳 岩波文庫(公式サイト) |
| 初出 | 1814年 |
| ページ数 | 160ページ |
| 面白さ | ★ ★ ★ ★ ★ |
| 読みやすさ | ★ ★ ★ ★ ★ |
| 忍耐度 | ★ ☆ ☆ ☆ ☆ |
| 初心者おすすめ度 | ★ ★ ★ ★ ☆ |
| 見どころ | ・コンパクトなボリューム ・「影の文学」の面白さ |
シャミッソー「影をなくした男」は本当にありがたいことに物語が短く簡潔で、海外文学を読み慣れない方にもおすすめの作品です。
そしてなにより「影の文学」の面白さが凝縮された作品でもあります。ここでは、以下の点からシャミッソー「影をなくした男」の感想・考察を紹介します。
- 「影」になにを見るのか
- 「影なし」を乗り越えたか
- あわせて読みたい「影の文学」

「影をなくした男」から魅惑の「影の文学」へ、Let’s Go!
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「影」になにを見るのか
シャミッソーはフランス生まれドイツ育ちという生い立ちを持ち、故郷がどっちつかずであったことで作中の「影」=「国籍」という見立てが有力ではあるものの、当初から影は本当はなにを指すのか疑問に感じる方が多かったそうです(池内紀氏の解説談)。
また、心理学では「影」は、自己が抑圧・否定してきた無意識のなかにある側面のことを指し、しばしば「もう1人の自分」といわれます。もし「影をなくした男」でなくしたのが
影が「もう1人の自分」だとしたら、夜眠れないくらい恐ろしい。
これは、抑圧・否定してきた側面がないという状態は、空っぽで立体感のない平面のような人間になってしまうからです。
作中では影がないことでシュレミールは周囲から嘲笑されるので、当たり前に持っているもの=国籍という解釈は納得感が強いのですが、やはり「離れてはいけない半身とはぐれるな」というメッセージを受け取りたくなります。
「影なし」を乗り越えたか
シャミッソー「影をなくした男」でシュレミールが「影なし」を乗り越えたかは、読者の感じ方によって大きく異なります。
個人的には、影なしの悩みからは遠ざかったもののハッピーエンドではないに1票。最後に他人との交流は描かれないし、友達にも直接会わずに終わってしまうところがやや切ないところです。

ただ、悪魔に従えばよかったという後悔がない点から、「影なし」を乗り越えたとも捉えられます。
あわせて読みたい「影の文学」
さて、どんどん「影の文学」が読みたくなったのではないでしょうか。ここでは、シャミッソー「影をなくした男」とあわせて読みたい「影の文学」の一例を紹介します。
■あわせて読みたい「影の文学」
・アンデルセン「影」
・ジャン・パウル「ジーベンケース」
・ドストエフスキー「二重人格」
・ホフマン「悪魔の美酒」
・エドガー・アラン・ポー「ウィリアム・ウィルソン」
・ロバート・ルイス・スティーヴンソン「ジキル博士とハイド氏」
・コンラッド「闇の奥」
影に追いかけられたり、影に復讐されたりとなかなの狂気を味わえるのが「影の文学」の醍醐味です、ぜひご堪能ください。

18世紀後半〜19世紀に一大「影」ブームがあったようです。
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シャミッソー「影をなくした男」に関するQ&A

最後に、シャミッソー「影をなくした男」に関するよくある質問を解説するので、疑問を解消しましょう。
「影をなくした男」の原題は?
「影をなくした男」は岩波文庫版の邦題で、原題は「ペーター・シュレミールの不思議な物語(ドイツ語:Peter Schlemihls wundersame Geschichte)」です。
なお、日本では訳違いで「シュレミール綺譚」「影を売った男」のタイトルもあります。
「影をなくした男」は青空文庫で読める?
2026年1月時点では、「影をなくした男」は青空文庫では読めません。
なお、アンデルセン「影」(楠山正雄 訳)は青空文庫で読むことが可能です。
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まとめ

お金と自身の影を交換したペーター・シュレミールが波乱な運命をたどるシャミッソーの「影をなくした男」について、要約や詳しいあらすじを紹介しました。
「影をなくした男」のなかで描かれる「影」をどう捉えるかは、読者の感じ方によって異なります。実際に読んで自分なりに考察してみるのがおすすめです。
また、あわせて読みたい「影の文学」としてアンデルセン「影」などもお伝えしました。今回の記事を、読書ライフを楽しむ参考にしてください。


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