紙製の表紙で本文を包み、背表紙の部分を接着剤で綴じる方法を「ペーパーバック」と呼びます。
ペーパーバックと言えば、洋書とコンビニコミック!
同じ製本方法には「無線綴じ」や「ソフトカバー」も含まれており、文庫本や新書など広く利用されているのが特徴。
ペーパーバックとは何か正しく理解しておけば、本を購入する際にもスムーズになるでしょう。
そこで今回は、ペーパーバックの定義や他の本との違いを解説します。
ペーパーバックを選ぶメリットについても紹介するので、参考にしてください。
ペーパーバックとは?
「ペーパーバック」とは、紙製の表紙で本文をくるんで、背表紙の部分を接着剤で綴じた本のことです。
ソフトカバー・無線綴じ・くるみ製本・並製本は、ペーパーバックと同じ製本方法となります。
ペーパーバックが利用される冊子の種類は、以下の通りです。
出版業界では洋書などのカバーのない並製本のことを、ペーパーバックと呼ぶ傾向にあります。
ペーパーバック(ソフトカバー)の本は、表紙が厚めのボール紙でできたハードカバーの本に比べて費用を安価に抑えられるのがメリットです。
ただし、ハードカバーよりも耐久性が劣るため、扱い方や時間の経過によっては劣化するところがデメリットだといえます。
「ペーパーバックには馴染みがない」という方でも、コンビニで販売されている人気漫画コミックをペーパーバック化した、いわゆる「コンビニコミック」であれば一度は見たことがあるでしょう。
こちらは、私の誕生日に姉がくれたコンビニコミック。「妹の誕生日に何くれてんだ」と思いつつも、本棚のスタメンに控えています。
ペーパーバックと単行本・文庫本との違い
ペーパーバックと以下の種類の本との違いを解説します。
聞かれると意外と分からないもの。それぞれについて、チェックしていきましょう。
単行本との違い
単行本とは、単独で発行される本のことです。
単行本は「発行の形式」であり、ペーパーバックは「製本方法」なので、そもそもジャンルが異なります。
例えば、新聞で連載された作品を単独で発行する場合、ペーパーバックの製本方法を使った書籍で出版されることもあるでしょう。
ただし、単行本はハードカバーで出版されるのが一般的です。
以前は単行本がハードカバーとして発売され、数年後に文庫化(ペーパーバック化)される流れでしたが、近年では最初から文庫本として発売されるケースも増えてきました。
また、単行本の対義語は叢書(そうしょ)や全集などのシリーズ本です。
漫画本だけは例外で、本来は叢書に該当しますが、雑誌に掲載した作品をまとめて出版することから「単行本」と呼ばれています。
文庫本との違い
文庫本はペーパーバックの一種で、ペーパーバックと同様の無線綴じの方法を用いて製本するのが一般的です。
また、ペーパーバックの中でも、小型の叢書(そうしょ)のことを文庫本と呼びます。
文庫本はA6版で出版される傾向にあり、カバーが装着されているのが基本です。
文庫本の創刊年代は、以下の通りとなります。
年代 | 文庫本 |
---|---|
1927〜1949年 | 岩波文庫・改造文庫・新潮文庫など |
1949〜1952年 | 角川文庫・市民文庫・アテネ文庫など |
1971〜1973年 | 講談社文庫・中公文庫・文春文庫・集英社文庫など |
1984〜1985年 | 光文社文庫・徳間文庫・PHP文庫・ちくま文庫など |
1996〜1997年 | 幻冬舎文庫・ハルキ文庫・小学館文庫など |
角川文庫によると、1949年の創刊当初の文庫サイズはB6版でしたが、翌年の1950年にサイズをA6版にしたことで文庫ブームが起きたとしています。
文庫の歴史は100年と比較的古く、例えば100年前の新潮文庫は職人が手作業で仕上げた豪華な仕様でした。
近年では文庫ブーム自体は起きていませんが、現在でもライトノベルなどの文庫レーベルは創刊されています。
▼文庫本についてまとめた他の記事は、こちら。
参考元:発見!角川文庫|角川文庫の歴史
新潮ショップ|100年前の新潮文庫―創刊版 完全復刻【受注】
ペーパーバックを選ぶメリット
ペーパーバックを選ぶメリットは、以下の通りです。
本によっても異なりますが、ペーパーバックは安価な紙や簡便的な製本方法が採用されており、ハードカバーよりも安い金額で購入できます。
安価ではあるものの、保存の仕方次第では数十年単位で利用することが可能です。
以下は、先日購入した1961年発行のペーパーバック。
60年以上前に出版されており、もちろん傷みはあるものの問題なく読めます。
そして!この!古本!独特の!巡り巡ってきた感よ!
また、文庫本であればA6サイズとコンパクトで、携帯性や収納性に優れているのもメリットです。
旅行や通勤・通学時に携帯しても邪魔にならず、比較的どこにでも持って行けるでしょう。
出版社が異なると文庫本のサイズも微妙に違いがありますが、ほぼ同じサイズなので本棚にきれいに収納できます。
カバーがない、かつ日本語で書かれているペーパーバックは、洋書気分を満喫できるのが魅力です。
もちろん外国語で書かれているペーパーバックならそのまま洋書として楽しめますが、なかなか難しいもの。
次の章で紹介する「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」は、そんな洋書感を楽しめる書籍です。
ペーパーバックの洋書感が堪らない「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」という存在
ハヤカワ・ポケット・ミステリ(通称ポケミス)とは、早川書房が1953年に創刊したミステリ・シリーズのことで、2023年で創刊70周年を迎えました。
2024年には通巻2,000番を超える予定で、世界最大のミステリ専門シリーズです。
記念ラインナップとして、オーストラリア・ウェーデン・アメリカなど6カ国の小説が出版され、トートバックなどの記念ノベルティも販売。
ハヤカワ・ポケット・ミステリは、外国人がポケットにペーパーバックを入れて持ち歩いているのを、早川書房の初代社長が見たのをきっかけに創刊されたといわれています。
ちなみに、私はロス・マクドナルドのシリーズを収集中です。
洋書感を楽しめるのはもちろん、表紙のデザイン性が高く、持ち運びしやすいので「もっと流行ってもいいのに」とも思います。
ロス・マクドナルド以外の書籍の表紙デザインも、抽象的な絵柄が印象的で眺めるだけでも結構面白くて、紀伊國屋書店のウェブストアを見てるとスクロールが止まりません。
毎度毎度のことながら「150円…250円…い、いつの物価なの?」と、まじまじわなわなと見つめてしまう私。
洋書っぽい雰囲気も魅力なのですが、通常のハヤカワ文庫の中古本は新潮文庫などの中古本よりも高額な傾向にあるため、費用を抑えるためにもポケミスを選んでいます。
安価に済む上に、デザイン性も高い!私にとっては一石二鳥。
▼その他の読書に関連する記事は、こちら。
まとめ
紙製の表紙で本文をくるんで、背表紙の部分を接着剤で綴じた本のことを「ペーパーバック」と呼びます。
文庫本をはじめとして論文集・報告書や教科書など、さまざまな種類の出版物に採用されている製本方法です。
安価で入手できる、持ち運びしやすいなどのメリットがあり、日本語で書かれていても洋書感を楽しめるのが魅力。
洋書の雰囲気を満喫したいという方は、早川書房が出版する「ハヤカワ・ポケット・ミステリ(通称ポケミス)」がおすすめです。
今回の記事を、読書ライフを楽しむ参考にしてください。
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