純文学にありがちな展開や設定は、「とにかくお金がない、もしくはあり過ぎる」「問題はいつまでも解決しない」などが挙げられます。

ありがちな展開が分かっていても、読書中に出てくると「キタ!」とテンションが爆上がる。
ミステリー小説にはミステリー小説の、SF小説にはSF小説の「ありがちな展開や設定」があるもの。もちろん、純文学にも特有のあるあるや共通点があります。
そこで今回は、純文学にありがちな展開や設定について作品名を交えながら解説します。純文学の定義やおすすめの作品などについても紹介するので、参考にしてください。
純文学の定義

純文学とは、芸術性を重視した小説のことで、表現の美しさ・内面的な描写・哲学的な問いなどを追求する傾向にあります。純文学の作家の例は以下のとおりです。
| 時代 | 作家の例 |
|---|---|
| 近代 | ・夏目漱石 ・芥川龍之介 ・太宰治 ・川端康成 |
| 現代 | ・村上春樹 ・川上未映子 ・村田沙耶香 |

純文学を扱った文学賞には「芥川賞(芥川龍之介賞)」があり、直木賞と並んで毎年大きくニュースに取り上げられます。
一方で、純文学の対局にあるのが大衆文学。大衆文学は、歴史小説や推理小説など娯楽性やエンターテイメント性に主眼を置いた小説のことを指します。
【関連記事】純文学と大衆文学の違いとは?芥川賞と直木賞の相違点についても解説
純文学にありがちな展開や設定

純文学にありがちな展開や設定には、以下のように「経済事情が両極端になりがち」「問題が未解決のままになりがち」などがあります。
- 貧乏or超お金持ち、経済事情が両極端になりがち
- 問題が未解決のままになりがち
- びっくりするほど突然に長話が始まりがち
- とんでもないバッドエンドが待っていがち
- お姉さま口調が極まっている登場人物がいがち
それぞれの展開・設定について、作品例を挙げながら具体的に解説していきます。
貧乏or超お金持ち、経済事情が両極端になりがち
教育機関を卒業後に仕事をせず悠々自適に暮らしている「高等遊民」など、経済事情が両極端になりやすいのが純文学にありがちな設定の1つです。
夏目漱石「こころ」に登場する「先生」や、「それから」の主人公「長井代助」、川端康成「雪国」の主人公「島村」などは、遺産暮らしをしたり、親のすねをかじったりしています。

あとは、謎の「書生」という職業(?)もある。
一方で、「とにかくお金がない(が、なぜか生活が回っている)」といったパターンも。
夏目漱石の「門」や「道草」はお金の工面の話をしているイメージが強く、ドストエフスキーの「罪と罰」や「貧しき人々」も困窮した暮らしぶりが印象的です。
問題が未解決のままになりがち
元々ストーリーの起伏がないのが純文学で、問題が解決せず終了することもしばしばあります。
夏目漱石が最たるもので、「門」や「行人」は読み終わりに「な、なにも解決しないだと…!」と声が出るほど。
仏門を叩こうが、旅に出ようが、人生の問題は容易には解決できないという人間の本質が物語で描き出されています。

織田作之助だと「解決しない。いや、むしろ悪化。そして身も蓋もない!」と一種の清々しさすら覚えます。
びっくりするほど突然に長話が始まりがち
独白や手紙など、さまざまな手段がありますが、純文学ではびっくりするほど突然に長話が始まる場合があります。
たとえば、ドストエフスキーの「白痴」ではイポリートという登場人物による「わが必要欠くべからざる弁明」という手紙というか独白を聞くシーンがありますが、文庫本で50ページくらいあります。

ドストエフスキーに対しては「仕方ないから付き合うよ精神」が大切。
あとは埴谷雄高の「死霊」も本当に独白が長くて、「長話キタ」とテンションが上がりつつも、めげそうになった記憶があります。
【関連記事】ドストエフスキー「白痴」のあらすじ【完全に美しい人間は他者の救いとなるか】レビューも紹介
とんでもないバッドエンドが待っていがち
物語の結末において「とんでもバッドエンド」を挙げ始めたら、ほぼ当てはまるのではないかと思われる純文学。
実際に読んだ純文学のなかで、たとえば以下のような作品は衝撃的なエンディングでした。
■衝撃的なエンディングだった純文学作品・海外文学
・有島武郎「或る女」
・夏目漱石「それから」
・ヘルマン・ヘッセ「車輪の下」
・ジョージ・オーウェル「1984」
読み終わりの「うわぁっ」と感が堪らない作品ばかり。しかし、謎の感動もあって号泣した記憶もあります。

純文学を読んでいると「バッドエンド好き」の血が騒ぎます…!
【関連記事】純文学でバッドエンドを味わいたい!【おすすめ作品を厳選】震えて眠れ絶望セレクション
お姉さま口調が極まっている登場人物がいがち
時代的な背景もありますが、近代の純文学では「ですわ調」などお姉さま口調が極まっている登場人物が比較的多く出てきます。たとえば、純文学に出てくるお姉さま口調は以下のとおりです。
■純文学に出てくるお姉さま口調
・お母さま・お父さまなど
・〜かしら
・〜わ(でしたわ・かもしれないわ)
・〜のよ(していましたのよ)
一方で、方言で話していたり、飾らない言葉で会話したりしている女性もおり、お姉さま口調はメジャーだったのかいつも気になるところです。

男性作家の「お嬢さま(育ちのいい女性)」に対するイメージなのかなとも思います。
【関連記事】純文学の楽しみ方を徹底解説|気持ち悪いって本当?起承転結があるのかも紹介
純文学のおすすめ作品

「これから純文学を読んでみたい」という場合は、過去に習った作品を読むのがおすすめです。
これは、内容は覚えていなくても一度読んだ経験があり、途中で挫折しにくいからです。ここでは「高校」と「中学校」に分けて、習う作品をご紹介します。
【関連記事】純文学初心者向けに読みやすい古典作品を紹介!選び方から楽しみ方まで徹底解説
高校の現代文で習う作品
高校の現代文で習う作品には以下のように、夏目漱石「こころ」や芥川龍之介「羅生門」などがあります。
■高校の現代文で習う作品
・夏目漱石「こころ」
・中島敦「山月記」
・森鴎外「舞姫」
・芥川龍之介「羅生門」
参考:三省堂|高校国語教科書 出典一覧(現代文)、新潮社|教育出版
いずれも面白く、高校生のときとは違った感覚で読めるので、どの作品もおすすめです。
私ももともと読書が得意ではありませんでしたが、夏目漱石「こころ」や太宰治「人間失格」をきっかっけに純文学に夢中になりました。
読書が苦手という場合には、なるべくページ数が少ない作品や短編集を選ぶとストレスなく読めます。
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中学校の国語で習う作品
中学校の国語で習う作品には以下のように、太宰治「走れメロス」や森鴎外「高瀬舟」などがあります。
■中学校の国語で習う作品
・太宰治「走れメロス」
・森鴎外「高瀬舟」
・夏目漱石「坊っちゃん」
・宮沢賢治「注文の多い料理店」
参考:奈良県立図書情報館|「教科書に載っている本~中学校の国語の教科書~」図書リスト、光村図書出版|出典一覧 中学校 国語
高校で扱う作品よりは比較的読みやすい作品が多いので、初心者でも最後まで読み切れる可能性が高いです。私の場合は「走れメロスは、何で走ってたんだっけ?」で「走れメロス」を再読しました。
難易度が高い作品や長編の作品は最後まで読みきれないケースもあり、覚えている作品や少しでも興味のある作品がおすすめです。
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まとめ

純文学にありがちな展開や設定には、以下のように「とんでもないバッドエンドが待っていがち」などがあります。
- 貧乏or超お金持ち、経済事情が両極端になりがち
- 問題が未解決のままになりがち
- びっくりするほど突然に長話が始まりがち
- とんでもないバッドエンドが待っていがち
- お姉さま口調が極まっている登場人物がいがち
「これから純文学を読もうと思っている」という場合には、高校の現代文や中学校の国語で学ぶ作品から取り組むのがおすすめです。
今回の記事を、読書ライフを楽しむ参考にしてください。



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