コンラッド「闇の奥」でクルツが狂ってしまった理由は、「なにもない自身の深淵」を見続けてしまったからが個人的な読後感でした。

読み終わりに、のぞいてはいけない深淵があるのだと知る怖さ、ね…!
そこで今回は、年がら年中純文学&海外文学を読んでいるひろぺすが、コンラッド「闇の奥」の考察・感想をお伝えします。あらすじも紹介するので、参考にしてください。
※ストーリーの結末を記載しているため、「直接的なネタバレNG」という方はご注意ください。
コンラッド「闇の奥」の考察・感想

コンラッド「闇の奥」の考察・感想を、以下の点からお伝えします。
- クルツはなぜ狂ってしまったのか
- マーロウが見たクルツの幽霊とは
- 「影の文学」として読んだものの…

AIにおすすめされて読みました、ディストピア直球ど真ん中。
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クルツはなぜ狂ってしまったのか
コンラッド「闇の奥」でクルツが狂ってしまった最大の要因は、「なにもない自身の深淵」を見続けてしまったからが個人的な読後感です。
クルツが狂ってしまった経緯については深く語られていないものの、作中ではクルツの内面が虚無であることが以下のように言及されています。
■クルツについての言及(要約)
・密林はクルツ自身も思いもよらない本性をささやいた。クルツにささやきが大きく響いたのは彼の内面が空っぽであったためである
・クルツは1人で密林のなかにいるうちに、自身の内奥を見つめて狂ってしまったのだろう
支配人や道化服の男の話を聞くと、一見クルツは仕事のできる複雑な人間に見えるわけですが、それは大前提として文明のある土地・人での話。
文明というフィルターを外したら、クルツ(というか人間)になにが残るのか…
もしも自分が大密林に囲まれた孤独しかない土地で、「なにもない自身の深淵」を見続けたのなら、私も正気を保てる気がしません、まじで。

例に漏れず私の内面も空っぽであろうからです、YESのぞいてはいけない深淵。
なお、クルツが狂ってしまった経緯は具体的な言及がされていないため、あらゆる要因が考えられます(極限状態だった・植民地支配の現状を目の当たりにしたetc)。
また、コンラッド「闇の奥」でしばしば引き合いに出されるニーチェの以下の言葉も作品を紐解く鍵になるかもしれません。
■ニーチェの言葉
怪物と戦う者は自身が怪物とならないように気をつけなければならない。深淵をのぞくとき、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。
クルツはコンゴの大密林でさまざまな深淵をのぞいてしまったわけですね、自身の虚無・自然・孤独・非文明。中身のないクルツが”怪物”になったのもうなずけます。

クルツのことが本当に笑えないのが本当に怖い。
マーロウが見たクルツの幽霊とは
マーロウがクルツとの婚約者との会話中に見るクルツの「幽霊」は、マーロウもクルツという深淵をのぞきクルツから見られているということだと推測できます(先ほどのニーチェの言葉どおり)。
■ニーチェの言葉
怪物と戦う者は自身が怪物とならないように気をつけなければならない。深淵をのぞくとき、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。
実際に、作中でもマーロウ自身の言葉のなかに「クルツの魂をのぞく試練をかいくぐる必要があった」といった旨の表現があります。
最後まで読んだ感じでは、マーロウはクルツとは異なり”怪物”にはならなかったようです(ただし、なかなか不穏な雰囲気で終わる)。
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「影の文学」として読んだものの…
AIに「ドッペルゲンガー」や「影」がモチーフの作品を選出してもらい、コンラッド「闇の奥」を読んだわけですが、私が望んだ「影の文学」ではありませんでした。
シャミッソー「影をなくした男」しかり、アンデルセン「影」しかり、
AIよ、自己の影(もう1人の自分)をテーマにした本が読みたかったんだわ!と。
ただし、クルツが見た空っぽの自分の深淵などまったく関係ないともいえず、また作品としてとても興味深かったので選書には後悔なしです。

読後感もAIと語り合いました、ディストピア〜!
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コンラッド「闇の奥」のあらすじ

コンラッド「闇の奥」は、船乗りのマーロウがコンゴ河の奥地から象牙をさばく伝説の男・クルツを連れ戻す旅路において、さまざまな「闇」をめぐる物語です。あらすじと結末は、以下のとおりです。
■コンラッド「闇の奥」のあらすじ
船乗りのマーロウは貿易会社に雇われ、コンゴ河の奥地に行く任務に就く。象牙をさばく奥地出張所にはクルツがおり、体調を崩しているという。密林の脅威や先住民の襲撃をかわしながら、マーロウは奥地にたどり着く。現地で支配者として君臨するクルツと対面し、彼を船に乗せて帰還しようとするが…
- クルツは船の中で「地獄だ!地獄だ!」という言葉を残して病死する
- マーロウはクルツの婚約者のもとへ手紙や写真を返すために会いに行く。クルツの婚約者との会話中、マーロウはクルツの幽霊を見る
なお、物語の最初と最後はマーロウから回想を聞いている人の視点、回想はマーロウの視点で描かれています。
レビュー・おすすめ度
コンラッド「闇の奥」は、新潮文庫ベース・解説抜きで200ページ程度の取り組みやすいボリュームですが、紀行文ならではの会話文の改行が少なめという読みにくさがあります。
実際に読んで以下のようにレビューしました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作者/作品名 | ジョゼフ・コンラッド/闇の奥 高見浩 訳 |
| 初出 | 1899年 |
| ページ数 | 新潮文庫:246ページ(※) |
| 面白さ | ★ ★ ★ ★ ☆ |
| 読みやすさ | ★ ★ ☆ ☆ ☆ |
| 忍耐度 | ★ ★ ★ ☆ ☆ |
| 初心者おすすめ度 | ★ ★ ★ ☆ ☆ |
| 見どころ | ・考察しがいがある作品 ・闇がありすぎて(いい意味で)気が進まない |
コンラッド「闇の奥」の作中では、「なぜクルツが狂ったのか?」「地獄だ!地獄だ!の意味とは?」「マーロウが見た幽霊とは?」など、さまざまなことが明かされないまま終わります。
正解を提示してほしい読者にとっては不完全燃焼かもしれませんが、考察しがいがある作品です。
また、風景描写にも「闇」があふれていて、冒頭のテムズ河に見ていた闇が物語が進むにつれて眼前に迫り、ねっとりと絡みつき、沈んでいく感じがたまりません(ただし、気は進まない)。
「まだ作品を読んでいない」という方は、実際にコンラッド「闇の奥」を読んで”闇”をぜひ体感してみてください。
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コンラッド「闇の奥」に関するQ&A

最後に、コンラッド「闇の奥」に関するよくある質問を解説するので、疑問を解消しましょう。
「闇の奥」は難しい?
コンラッド「闇の奥」を難しいと感じるかどうかは個人差がありますが、表現の難解さは比較的少ない作品です。
なお、会話文での改行が少ないため、読書に慣れない方が読むとやや読みにくさがあると考えられます。
コッポラ「地獄の黙示録」との関係は?
コンラッド「闇の奥」は、コッポラ「地獄の黙示録」の原案になったとされています。
ただし、「地獄の黙示録」はベトナム戦争が舞台になっているなど相違点もあるので、「闇の奥」の内容を知りたい場合は実際に作品を読みましょう。
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まとめ

コンラッド「闇の奥」でクルツが狂ってしまった理由は、空虚な自己の深淵を見続けてしまったからが個人的な読後感です。
なお、「闇の奥」は船乗りのマーロウがコンゴ河の奥地に向かい、象牙をさばく伝説の男・クルツを連れ戻す旅路において、さまざまな「闇」が描かれています。
会話文での改行が少ないなど紀行文ならではの読みにくさはあるものの、読んでおきたい名作の1つです。


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