「よく聞く絶版とはなに?」「なぜ絶版になるの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
やっぱり…あれか…人気がないから…なのか…
結論、絶版とは出版権を放棄して増刷(重版)しない状態を意味します。
欲しい本が絶版になっていたときのためにも、理解を深めておくことが重要です。
そこで今回は、絶版とは?なぜ取りやめになる?をテーマに定義や理由を解説します。
絶版本の探し方も紹介するので、参考にしてください。
絶版とは
絶版(ぜっぱん)とは、ある著作物を独占的に販売できる「出版権(版権)」を放棄して、重版(じゅうはん)しない、つまり増刷しないことを指します。
絶版になった本は新たに入荷されないため、在庫が切れたら書店では基本的に手に入りません。
また、絶版と類似した状態には「品切れ」もしくは「品切重版未定」というものがあります。
品切重版未定の場合には絶版と同様に増刷しない状態であるものの、出版権を所有している点に違いがあるので気をつけましょう。
絶版と同様の状況にも関わらず出版権を維持し続けている状態を「塩漬け」とも呼びます。
塩漬け状態では別の出版社で出すこともできず、作者はもちろん読者にとっても不利益なため好ましくないともされています。
なお、廃盤はCDやレコードの追加製造をしないことで、絶版とほぼ同じ意味ですが、対象が異なるので使い方には注意が必要です。
参考元:出版広報センター|「出版物に関する権利」と出版契約の関係
なぜ絶版になるのか
絶版になる主な理由は、以下の通りです。
売上げが伸びなかったり、著作者が希望したりするなど、絶版になる理由は多岐にわたります。
差別や盗作など著作物の内容に問題・不祥事があるケースでは、出版を取りやめにせざるを得ない状況だといえるでしょう。
また、外部からは原因不明のまま打ち切りや絶版になる場合もあり、理由が不明確なケースもあります。
絶版の理由が分からないと、数十年レベルでずっとモヤモヤする!
絶版本の探し方
絶版本の探し方は、以下の通りです。
また、欲しい本が絶版かどうか判断がつかない場合には、まず出版社の公式ホームページなどで状況を確認しましょう。
探し方①書店や通販サイトまたは図書館で探す
絶版から間もない時期であれば、書店や通販サイトに新品の在庫がある可能性があります。
複数の書店や通販サイトで探してみると、発見できるケースも。
また、購入する必要がなければ、図書館を利用するのも方法の1つです。
場合によっては都道府県外の図書館から取り寄せができることから、見つかる可能性が高まります。
図書館をフル活用すれば、たくさんの絶版本を読めること間違いなし。
探し方②電子書籍で探す
現物がない場合や紙の本にこだわりがない場合には、電子書籍でも探してみましょう。
電子書籍で小説を読めるサービスは、以下の通りです。
いずれも専用リーダーが不要で、スマホなどで手軽に読書ができます。
また、2022年から国会図書館が、絶版などの理由で入手困難な約153万点の資料をインターネット経由で閲覧できる「個人向けデジタル化資料送信サービス」をスタート。
日本国内に居住している個人の登録利用者であれば、昭和62年までに受け入れた図書や明治期以降の貴重書などを閲覧できます。
参考元:国立国会図書館|「個人向けデジタル化資料送信サービス」の開始について
探し方③古本屋や中古本を販売する通販サイトで探す
絶版本が書店にない場合は、古本屋や中古本を販売する通販サイトで探してみましょう。
近隣に古本屋がなかったり、古本屋で欲しい本が手に入らなかったりしたら、以下の通販サイトも参考にしてください。
すべての通販サイトで検索し、価格や状態を比較しながら購入を進めることが重要です。
古本は状態がケースバイケースなので、よく見極める必要があります。
▼古本や中古本についてまとめた記事は、こちら。
探し方④復刊を待つ・リクエストする
どうしても手に入らない場合や新品が欲しい場合には、復刊を待ちましょう。
SNSで話題になったり、読者のリクエストが多かったりすると、復刊する場合があります。
近年では、絶版になった本を復刊させるWebサイト「復刊ドットコム」が注目を集めており、最近では「戦場のメリークリスマス」の原作「影の獄にて」が復刊して話題となりました。
また、出版社自体で復刊のリクエストを受け付けている場合もあります。
絶版で著作権はどうなる?
本が絶版で増刷されなくなった場合でも、著作権法の保護は継続されるため、扱いには注意が必要です。
ちなみに、著作権とは作者の財産的利益・精神的利益を守る権利で、と「著作者人格権」と「著作権(財産権)」の2つから成り立っています、
例えば、著作権法で保護された著作物は、無断でコピーなどができません。
著作物を勝手に使用すると、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金などが科せられます。
著作権が適用される著作物の例は、以下の通りです。
著作権の保護期間は原則70年となっており、詳細は以下の通りとなります。
種類 | 詳細 | 保護期間 |
---|---|---|
著作物 | 原則 | 著作者の死後70年 |
著作物 | 無名・変名 | 公表後70年 |
著作物 | 団体名義 | 公表後70年 |
著作物 | 映画 | 公表後70年 |
実演 | ー | 実演が行われた後70年 |
レコード | ー | レコードの発行後70年 |
絶版しても基本的に70年は保護対象となることから、コピーやインターネットでの公開には気をつけてください。
例えば、芥川龍之介・夏目漱石・太宰治など有名作家の著作権は期限が切れています。
▼純文学についてまとめた記事は、こちら。
参考元:国立国会図書館|著作権にかかわる注意事項
文化庁|7 「著作権」とはどのような権利か
公益社団法人著作権情報センター|著作物を無断で使うと?
絶版本の魅力
読みたい本が絶版の場合は古本で購入しますが、魅力なのはやはり堪らない「いにしえ感」です。
新潮文庫や岩波文庫は創刊から100年程度経過しており、写真のように創刊当時で絶版本を購入するケースもあります。
スレや日焼けした古本は一般的には状態が悪いとされますが、ここまで時間が経っているともはや趣深い印象すらあります。
書籍自体が絶版になっているケースもありますが、カバーのデザインが廃止されている場合も。
個人的には、欲しいカバーデザインがあれば個人出品サイト、新品と比較しながら都度購入したいときはAmazonマーケットプレイスと使い分けています。
▼Amazonマーケットプレイスの中古本の状態についてまとめた記事は、こちら。
まとめ
絶版(ぜっぱん)とは、ある著作物を独占的に販売できる「出版権(版権)」を放棄して、重版(じゅうはん)しないことです。
絶版になる主な理由を、おさらいしましょう。
- 売上げが伸びないと予想された
- 出版社が倒産して刊行できなくなった
- 著作者が希望した
- 著作物の内容に問題・不祥事があった
絶版本が読みたい場合には、図書館・書店・古本屋・通販サイトを利用して新品・中古・電子書籍を探すのがおすすめです。
また、絶版になっても著作権の保護対象になるので、扱いには注意しましょう。
今回の記事を、読書ライフを楽しむ参考にしてください。
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