文庫レーベルの一覧を紹介!それぞれの特徴やよくある質問も徹底解説

文庫レーベルの一覧を紹介!それぞれの特徴やよくある質問も徹底解説 文庫本の世界

「よく耳にする”文庫レーベル”ってなに?」と疑問に感じる方も多いでしょう。

音楽のレーベルのほうが馴染みがあるかも。

結論、文庫レーベルとは出版社における文庫本のブランドのことで、出版社によって持っているレーベルの数もさまざまです。

文庫レーベルについて理解を深めておけば、読書が充実すること間違いなし。

そこで今回は、主な文庫レーベルの一覧とそれぞれの特徴を紹介します。

文庫レーベルと出版社の違いやよくある質問も解説するので、参考にしてください。

文庫レーベルとは?

文庫レーベルとは?

文庫レーベルとは、「出版社における文庫本のブランド」を指します。

レーベルとはそもそもラベル(label)のことで、本来の意味は名札・はり紙・付箋・レッテルなどです。

音楽においては、所属アーティストの音楽作品を制作したりCDをつくったりする部門・組織を意味します。

複数のレーベルを持つ出版社もあれば、レーベルを1つのみ持っている出版社もあり、さまざまです。

また、文庫レーベルによって得意・強化ジャンルがそれぞれ異なり、純文学を豊富にラインナップしているレーベルやライトノベルを多く取り扱うレーベルもあります。

▼「そもそも文庫とは?」をまとめた記事は、こちら。

文庫レーベルと出版社の違い

文庫レーベルと出版社の違いは、以下の通りです。

文庫レーベルと出版社の違い
  • 文庫レーベル:出版社における文庫本のブランド
  • 出版社:文庫本などの書籍や雑誌を製作する会社

文庫レーベルは出版社における書籍のいちブランドであり、出版社は文庫本に限らず雑誌やマンガなども取り扱っています。

例えば、新潮社が展開する文庫レーベルは「新潮文庫」、筑摩書房が発行している文庫レーベルは「ちくま文庫」です。

出版社だからといって必ず文庫レーベルを持っているとは限らず、廃刊・休刊となっているレーベルも多くあります。

文庫レーベル一覧!押さえておきたい有名どころ

文庫レーベル一覧!押さえておきたい有名どころ

押さえておきたい有名な文庫レーベルの一覧は、以下の通りです。

文庫レーベルの一覧
  • 新潮文庫
  • 岩波文庫
  • 角川文庫
  • ちくま文庫
  • 講談社文庫
  • 集英社文庫
  • ハヤカワ文庫

創刊時期やそれぞれの特徴について解説していきます。

新潮文庫|文学作品を多く取り扱う1914年創刊の老舗レーベル

項目内容
創刊時期1914年
作品ラインナップ海外から国内まで数多くの文学作品を取り扱う
製本・「天アンカット」を採用している
・「スピン」が取り付けられている
その他・「新潮文庫の100冊」のフェアを実施している
・新潮文庫nexなど文庫内レーベルがある

新潮文庫は1914年創刊の老舗レーベルで、現存する文庫レーベルのなかでも最も古い分類に入ります。

文学作品のラインナップが豊富なのが特徴で、海外から国内まで幅広く取り扱っているのが特徴です。

また、製本上では、文庫本の上がガタガタしている「天アンカット」やしおり紐の「スピン」を取り入れています。

毎年夏には「新潮文庫の100冊」のフェアを実施し、プレミアムカバーの書籍も人気です。

読了後、スピンを最後のページに挟む瞬間が堪らない新潮文庫。

▼文庫本のスピンや新潮文庫についてまとめた記事は、こちら。

岩波文庫|1927年創刊で主に文学作品や学術書などを取り扱うレーベル

項目内容
創刊時期1927年
作品ラインナップ主に文学作品や学術書などを取り扱う
製本・「天アンカット」を採用している
・カバーの装着は1983年と比較的遅い
その他・カバーの背の色でジャンルを分類している
・「岩波文庫フェア」を実施している

岩波文庫は1927年に創刊しており、主に文学作品や学術書などを取り扱っているのが特徴です。

かつては天アンカット・スピン・グラシン紙カバーを採用していましたが、現在では天アンカットのみ残っています。

本のカバーは1960年頃普及し始めているものの、岩波文庫がカバーをかけ始めたのは1983年と比較的遅い時期でした。

岩波文庫フェアを実施しており、近年では「岩波文庫特製ブックカバー」のプレゼントを行っているのも魅力です。

岩波文庫を読んだ後は、ちょっと頭が良くなった気がするのは私だけ…?

▼天アンカットについてまとめた記事は、こちら。

参考元:岩波書店|2023年岩波文庫フェア「名著・名作再発見! 小さな一冊をたのしもう」

角川文庫|古典文学から大衆小説まで幅広く扱うレーベル

項目内容
創刊時期1949年
作品ラインナップ古典作品から推理・SF作品までラインナップしている
製本・カバー下デザインやカバーの紙質がさまざま
・以前は「天アンカット」を採用していた
その他・原作からメディアミッスクする「角川商法」で有名
・夏・秋の年2回フェアを実施している

1949年に創刊した角川文庫は、古典作品から推理・SF作品までラインナップしている文庫レーベルです。

創刊当時「文芸路線」として夏目漱石をはじめとして数多くの古典作品を取り扱っていたものの、角川春樹が社長となってから「大衆路線」へと切り替えました。

その後、さらに社長交代を経て古典作品が復刊されています。

横溝正史作品を代表に、原作から映画や主題歌へメディアミッスクする「角川商法」としても有名。

また、カバー下デザインやカバーの紙質がさまざまで、個人的には中古本を購入する際の楽しみです。

現在は推理小説・純文学作品、中高生の頃はファンタジー小説と、長いことお世話になってます。

▼文庫本の裏表紙のあらすじやカバー下デザインについてまとめた記事は、こちら。

ちくま文庫|全集のラインナップが豊富なレーベル

項目内容
創刊時期1985年
作品ラインナップ新教養・古典・ヤングアダルト・全集
製本・ジャンルによって裏表紙のマークが異なる
・安野光雅が基本的な装幀を手がけている
その他・周年でフェアを開催している
・毎年「ちくま文庫&ちくま学芸文庫グランドフェア」を実施している

ちくま文庫は1985年に創刊した筑摩書房の文庫レーベルで、絵本作家で知られる安野光雅が基本的な装幀を手がけたことでも有名です。

ちくま文庫の主なジャンルは、「新教養」「古典」「ヤングアダルト」「全集」の4つ。

特に全集のラインナップが豊富で、夏目漱石・太宰治・森鴎外・坂口安吾などを発行しています。

また、翻訳や古典などは「月マーク」、現代小説やエッセイなどは「太陽マーク」が裏表紙に描かれているのも特徴です。

30周年などの周年フェアに加えて、毎年テーマを設けて「ちくま文庫&ちくま学芸文庫グランドフェア」を開催しています。

坂口安吾の全集表紙は横尾忠則…つい、つい揃えたくなるのよね!

講談社文庫|1970年台の文庫ブームの火付け役!大衆文学が中心のレーベル

項目内容
創刊時期1971年
作品ラインナップ大衆小説が中心
製本カバーの背部分のカラーは全10色で作家が選んでいる
その他春・夏などにフェアを開催している

講談社文庫は1971年に創刊した講談社による文庫レーベルで、大衆小説が中心に刊行されています。

講談社文庫が創刊するまでは文庫業界は新潮・岩波・角川がメインだったものの、講談社が文庫レーベルを持ったことをきっかけに他者も参入するようになりました。

カバーの背部分のカラーは全10色あり、作家自身が選んだ色が採用されているのもポイントです。

春や夏などにフェアを開催しており、その他にも「ミステリーフェア」や「時代小説フェア」などテーマを設けたフェアも実施しています。

集英社文庫|漫画家が描く表紙が特徴的なレーベル

項目内容
創刊時期1977年
作品ラインナップ純文学・大衆小説・海外作品など
製本漫画家が表紙を描いている作品もある
その他夏の文庫フェア「ナツイチ」を開催し、PRには芸能人が起用される

講談社文庫は1977年に創刊した講談社の文庫レーベルで、純文学から大衆小説まで幅広く扱っています。

小畑健が太宰治の「人間失格」の表紙を担当したことでも有名で、漫画家が表紙を手がける作品があるのも特徴です。

夏には文庫フェア「ナツイチ」を開催し、2023年時のフェアでは人気声優とのコラボも実現しています。

「ナツイチ」はCMなどのPRに芸能人や声優を起用しており、書店でも存在感が大きいため「見たことがある」という方も多いでしょう。

ハヤカワ文庫|海外作品が豊富でサブレーベルが充実している

項目内容
創刊時期1970年
作品ラインナップミステリー・サイエンス・海外作品など
製本「天アンカット」を採用している
その他秋に「ハヤカワ文庫の100冊フェア」を実施している

1970年に創刊したハヤカワ文庫は早川書房の文庫レーベルで、サブレーベルが充実しているのが特徴です。

「ハヤカワ文庫SF」「ハヤカワ・ミステリ文庫」「ハヤカワepi文庫」など、さまざまなラインナップがあります。

作品ジャンルはミステリー・サイエンス・海外作品などがメインで、2024年のアカデミー賞作品賞にもノミネートされた「哀れなるものたち」など話題作も多く取り扱っているのが特徴です。

秋に「ハヤカワ文庫の100冊フェア」を開催しており、2023年にはインフルエンサーとコラボした内容を実施。

早川書房ではその他にもペーパーバック形式の「ポケット・ハヤカワ・ミステリ」なども展開しています。

洋書の雰囲気が漂うポケット・ハヤカワ・ミステリ、大好きです!

▼ペーパーバックについてまとめた記事は、こちら。

文庫レーベルによくある質問

文庫レーベルによくある質問

文庫レーベルによくある質問として、以下を解説します。

文庫レーベルによくある質問
  • 角川のライトノベルのレーベルは?
  • 新書にレーベルはある?

それぞれについて解説していきます。

角川のライトノベルのレーベルは?

角川のライトノベルのレーベルは、以下の通りです。

角川のライトノベルのレーベル
  • 電撃文庫(アスキー・メディアワークス・KADOKAWA)
  • 富士見ファンタジア文庫(富士見書房・KADOKAWA)
  • 角川スニーカー文庫(角川書店・KADOKAWA)
  • 角川ビーンズ文庫(角川書店・KADOKAWA)
  • MF文庫J(メディアファクトリー・KADOKAWA)

富士見書房や角川書店が、「ライトノベル」という概念が定着する前からライトノベルの方向性を持った作品を発表していました。

「ロードス島戦記」「スレイヤーズ」「魔術士オーフェン」「涼宮ハルヒシリーズ」など、古今東西数多くの人気作を輩出しているのも特徴です。

アニメ化した作品も多く、涼宮ハルヒシリーズなど社会的に大きな影響を及ぼした作品もありました。

▼ライトノベルについてまとめた記事は、こちら。

新書にレーベルはある?

新書にもレーベルがあり、例えば以下の通りです。

新書のレーベル
  • 朝日新書(朝日新聞出版 )
  • 岩波新書・岩波ジュニア新書(岩波書店)
  • 小学館新書(小学館)
  • 新潮新書(新潮社)
  • 宝島社新書(宝島社)

文庫を出版している出版社はもちろん、新聞社も新書を発行しています。

また、三大新書とは、岩波新書・中公新書・講談社現代新書の3つです。

なお、文庫と新書はサイズや取り扱うジャンルが異なるものの、小型叢書(そうしょ)という点は共通しています。

まとめ

文庫レーベルとはまとめ

文庫レーベルとは、「出版社における文庫本のブランド」を意味します。

出版社は「文庫本などの書籍や雑誌を製作する会社」であり、文庫レーベルとは違いがあるため注意しましょう。

押さえておきたい文庫レーベルとして、今回は以下を紹介しました。

  • 新潮文庫
  • 岩波文庫
  • 角川文庫
  • ちくま文庫
  • 講談社文庫
  • 集英社文庫
  • ハヤカワ文庫

文庫レーベルごとにメインジャンルが異なるため、それぞれの特徴を把握しておくことが重要です。

今回の記事を、読書ライフを満喫する参考にしてください。

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