不思議な映画タイトルを見かけると「邦題のセンスはおかしいのでは?」と、ふと疑問に思う方も多いでしょう。
原題を調べてみて「全然違うじゃん!」と思うことも、しばしばあります。
映画の邦題は配給会社が決定していますが、疑問符が止まらないタイトルや、思わず拍手したくなるタイトルなどさまざま。
そこで今回は「映画の邦題のセンスはおかしい?」をテーマに、迷走から名訳まで原題を含めて紹介します。
海外の反応についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
映画の邦題のセンスはおかしい?迷走から名訳まで
「映画の邦題のセンスはおかしい?」を判断すべく、迷走から名訳まで幅広く紹介します。
原題も一緒に記載するので、比較しながら確認していきましょう。
そりゃあないぜ!迷走の邦題5本
セリフよろしく「そりゃあ、ないぜ!」とつい叫んでしまう迷走の邦題5本は、以下の通りです。
それぞれの原題や作品情報をチェックしていきましょう。
バス男(原題「Napoleon Dynamite」)
邦題 | バス男 ※後に「ナポレオン・ダイナマイト」へ改題 |
原題 | Napoleon Dynamite |
公開年 | 2004年(アメリカ) ※日本での劇場公開なし |
ジャンル | コメディ |
国内で2005年に大ヒットした「電車男」から名付けられた「バス男」。
「主人公がバスオタクなのでは…?」と思う方もいるかもしれませんが、主人公のナポレオンがバスで通学しているという点だけでネーミングされています。
原題は「Napoleon Dynamite」は、主人公の名前のことです。オタクを思わせるような見た目には共通項があるものの、大きな類似性はありません。
吹き替えは、草尾毅・小野塚貴志・日野聡と豪華メンツ…もったいなさ過ぎます。
酷い邦題は逆に見たくなってくる不思議さもあります…謎。
ドリーム 私たちのアポロ計画(原題「Hidden Figures」)
邦題 | ドリーム 私たちのアポロ計画 ※後に「ドリーム」へ改題 |
原題 | Hidden Figures |
公開年 | 2017年(日本) |
ジャンル | 伝記映画 |
「マーキュリー計画」を描いた映画なのに「アポロ計画」と名付けてしまった「ドリーム 私たちのアポロ計画」。
「宇宙開発といえば、アポロ計画のほうがイメージしやすい」とのことで、内容とは異なるものの「私たちのアポロ計画」を採用しました。
原題は「Hidden Figures」で「隠された数字/人物」という意味があり、差別を受けながらもマーキュリー計画に尽力した黒人女性の知られざる物語が描かれています。
監督本人が邦題にコメントを出す事態にまで発展するなど、大きな波紋を呼びました。
ま、まさに迷走!
マイティ・ソー バトルロイヤル(原題「Thor: Ragnarok」)
邦題 | マイティ・ソー バトルロイヤル |
原題 | Thor: Ragnarok |
公開年 | 2017年(日本) |
ジャンル | スーパーヒーロー |
日本で原題に含まれる「ラグナロク」が聞きなれない言葉として、「バトルロイヤル」に変更されてしまった「マイティ・ソー バトルロイヤル」。
ラグナロクとは、北欧神話における「世界の終末」のこと。神々と怪物が激しい争いを繰り広げた末に大地が海に沈んでしまうとされています。
生き残った最後のチームを勝ちとする「バトルロイヤル」とは、スケール感が大きく異なる印象。
また、「ラグナロク」はFFなどゲームをする層にとってはかなり認知度の高い言葉であり、何より響きが格好良いというのに…もったいなさ過ぎます。
ジーサンズ はじめての強盗(原題「Going in Style」)
邦題 | ジーサンズ はじめての強盗 |
原題 | Going in Style |
公開年 | 2017年(日本) |
ジャンル | コメディ/クライム |
原題の「Going in Style」は「スタイリッシュに」「流行にのる」などの意味がありますが、何故か「ジーサンズ はじめての強盗」という邦題に。
邦題のタイトルはかなり内容を分かりやすく伝えていますが、「Oh…おかしい…ダサすぎる」と思わず声に出してしまうでしょう。
出演者はモーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、アラン・アーキンと全員がアカデミー賞受賞経験のある豪華俳優陣だけに残念。
ジーサンじゃねぇし。激渋イケじじいだし。何言ってんだし。という気持ちになります(合掌)。
サスペリアPART2(原題「Profondo Rosso」)
邦題 | サスペリアPART2 |
原題 | 原題:Profondo Rosso 英題:Deep Red |
公開年 | 1978年(日本) |
ジャンル | ホラー/ミステリー |
原題「Profondo Rosso(Deep Red)」とは全くかけ離れた邦題が付いてしまった「サスペリアPART2」。
確かに「サスペリア」と同じダリオ・アルジェントが監督を務めたものの、サスペリアの続編ではありません。
後にDVDが発売された際には、原題に沿った「サスペリアPART2/紅い深淵」と名付けられたバージョンもありました。
一旦邦題が発表されると名前が定着してしまうため、ソフトや配信になってから変更するのは難しいものです。
しかも、本当の続編である「インフェルノ」「サスペリア・テルザ 最後の魔女」が出るという悲劇。
原題を超える?名訳の邦題5本
続いて、名訳の邦題5本を紹介します。
「名作には名訳の邦題あり」の予感がするのは、私だけでしょうか。
天使にラブ・ソングを…(原題「Sister Act」)
邦題 | 天使にラブ・ソングを… |
原題 | Sister Act |
公開年 | 1993年(日本) |
ジャンル | コメディ |
ホームアローンなどと並んで金ローの大定番「天使にラブ・ソングを…」ですが、原題は「Sister Act」。
「Sister Act」には、「聖歌隊のパフォーマンス」そして「シスターを演じる」という2つの意味があるとされています。現代はもちろん、「シスターアクト」とカタカナにしてもピンとこないもの。
シスターのイメージとはギャップのある「ラブ・ソング」を入れていることや、タイトルには珍しい「…」が付くことでグッと引き込まれます。
また、原題とは全く異なるものの、映画の雰囲気がよく伝わるタイトルです。
ランボー(原題「First Blood」)
\全吹替5バージョンをコンプリート版!/
邦題 | ランボー |
原題 | First Blood |
公開年 | 1982年(日本) |
ジャンル | アクション |
2023年時点で5作公開されているシルヴェスター・スタローン主演の「ランボー」の原題は、「First Blood」。
劇中に登場するセリフ「They drew first blood(あいつらが先に仕掛けたんだ)」から取られたとされています。「First Blood」は「先に仕掛ける・先制する」という意味です。
直訳されても、いまいちイメージが湧きませんね。主人公の名前が入って邦題となるケースも多いため、「ランボー」のほうが馴染みやすく感じます。
ランボーはポプテピピックを含めて大好きです。
キャッチーで、声に出して言ってみたい語感の良さが、ある!
処刑人(原題「The Boondock Saints」)
\みんなが大好きノーマン・リーダス出演!/
邦題 | 処刑人 |
原題 | The Boondock Saints |
公開年 | 2001年(日本) |
ジャンル | アクション |
みんな大好きノーマン・リーダス出演の「処刑人」は、原題「The Boondock Saints」で「路地裏の聖人たち」という意味です。
内容的には「路地裏の聖人たち」のほうがぴったりで、邦題は原題からも離れています。
しかし、「処刑人」という響きは、悪を裁いていくという意味で池波正太郎原作の「仕掛人」の雰囲気を感じるのでイメージに近いといえるでしょう。
吹き替えは、山路和弘・宮本充・江原正士などが担当しており、豪華!お祈りの言葉のシーンは厨二病が極まっている感じがあり、定期的に見たくなる作品の1つです。
山猫は眠らない(原題「Sniper」)
邦題 | 山猫は眠らない |
原題 | Sniper |
公開年 | 1993年(日本) |
ジャンル | アクション |
アメリカ軍の狙撃兵を題材とした「山猫は眠らない」の原題は「Sniper」であり、直訳すると「狙撃手」とちょっと物足りない感じも。
「山猫は眠らない」の由来は船戸与一原作の小説「山猫の夏」が当時ヒットしていたため、便乗したという説があります。
ただし、「山猫の夏」は狙撃手の話ではないため、内容的には関係ありません。
「山猫は眠らない」からは内容はイメージできませんが、インパクトと語感の良さがあり、好印象を持つ方が多いのではないでしょうか。
ゴールデンカムイの尾形は別の意味で「山猫」となっていますが、すっかりスナイパー=山猫のイメージが定着しています。
007は二度死ぬ(原題「You Only Live Twice」)
邦題 | 007は二度死ぬ |
原題 | You Only Live Twice |
公開年 | 1967年(日本) |
ジャンル | アクション/スリラー |
近年の007シリーズは原題がそのままカタカナ表記する傾向にありますが、原題「You Only Live Twice」の邦題は「007は二度死ぬ」。
直訳すると「あなたは二度しか生きられない」で、007のハードボイルドさにはしっくり来ない感じがあります。
007シリーズは、その他にも「007は殺しの番号」「007/美しき獲物たち」などのおしゃれな邦題が多いのも特徴。
ルパン3世のタイトルにも「ルパンは二度死ぬ」「ロシアより愛をこめて」とよく引用されています。
▼映画についてまとめた他の記事は、こちら。
映画の邦題は誰がつける?
映画の邦題は、原則配給会社が名付けています。
邦題が絶賛されたり、海外から高い評価を受けたりするケースもありますが、批判を受けて名前を修正する場合も。
例えば、今回紹介した「ドリーム 私たちのアポロ計画」は後に「ドリーム」というタイトルへ変更しています。
また、「サスペリアPART2」などのように、公開が終了してソフト化する際に名前を変えるケースも。
気になる作品が発表された場合には、原題・邦題・発売後のタイトルの3つをチェックすると、さらに映画を楽しめるでしょう。
映画の邦題に対する海外の反応
邦題に関する海外の反応はさまざまで、監督が声明を出して変更したり、邦題から2作目以降の原題のほうが変更になったりするケースも。
海外で高評価を受けている邦題としては、「ワイルド・スピード」が代表的です。
原題は「The Fast and the Furious」(第1作)となっており、直訳すると「速くて猛烈」ないしは「猛烈な勢いで」といったところ。
アメリカの「The Hollywood Reporter」では邦題を「Wonderful」と評価しており、以下の通りです。
The Japanese Titles for the ‘Fast & Furious’ Movies Are Wonderful
The Hollywood Reporter
ワイルドスピードは「EURO MISSION」や「SKY MISSION」などの追加部分も毎回格好良いので、楽しみにしている方も多いでしょう。
まとめ
映画の邦題は、よく分からないセンスで付けられた迷走から、思わず拍手を送りたくなる名訳まで、さまざまなバリエーションがあります。
迷走の邦題として「バス男」「ドリーム 私たちのアポロ計画」「マイティ・ソーバトルロイヤル」など、名訳として「天使にラブ・ソングを…」「ランボー」「処刑人」などを紹介しました。
また、「ワイルド・スピード」のように邦題が海外から高評価を得るケースもあります。
邦題と原題の両方を知ってから映画を見ると、より満喫できるでしょう。
今回の記事を、映画ライフを楽しむ参考にしてください。
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