カンヌ国際映画祭とは?面白くない?コンペティション部門など各賞も解説

カンヌ国際映画祭とは?面白くない?コンペティション部門など各賞も解説 映画

「カンヌ国際映画祭って毎年ニュースで耳にするけど、どんな映画祭なの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。

毎度のことながら、「スゴイ」ってことだけは知っている!

結論、カンヌ国際映画祭とは世界三大映画祭の1つで、毎年5月にフランスの都市・カンヌで開催されます。

国際的な映画祭について理解を深めておけば、今後の映画ライフが充実すること間違いなし。

そこで今回は、カンヌ国際映画祭の概要や受賞部門について解説します。

国際映画祭・アワードの年間スケジュールについても紹介するので、参考にしてください。

カンヌ国際映画祭とは?

カンヌ国際映画祭とは?

カンヌ国際映画祭とは1946年に開始した世界三大映画祭の1つで、毎年5月にフランスの都市・カンヌで開催されます。

審査員は映画監督・俳優・批評家などの映画や文化に関わる著名人が務め、映画祭の構成要素は以下の3つです。

カンヌ国際映画祭の構成
  • オフィシャルセレクション(カンヌ国際映画祭主催)
  • 監督週間(フランス監督協会主催)
  • 批評家週間(フランス映画批評家組合主催)

また、およそ800社が参加する国際映画見本市の「マルシェ・デュ・フィルム」が同時開催されるのも特筆すべきポイントです。

「マルシェ・デュ・フィルム」は世界三大マーケットのことで、映画祭・マーケットの詳細は以下の通りとなります。

世界三大映画祭世界三大マーケット
カンヌ国際映画祭(フランス)
ベルリン国際映画祭(ドイツ)
ヴェネツィア国際映画祭(イタリア)
マルシェ・デュ・フィルム(フランス)
MIFED(イタリア)
アメリカン・フィルム・マーケット(アメリカ)

世界三大映画祭と世界三大マーケット同時に実施するのはカンヌ国際映画祭のみです。

映画祭自体も権威あるイベントですが、世界三大マーケットを一緒に開催することで世界中のマスコミ・メディアが注目します。

また、メイン会場はパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ(Palais des Festivals et des Congrès)という会議場。

俳優や監督などが歩く正面玄関のレッドカーペットはカンヌ国際映画祭の顔ともいえる存在で、メディアで見かけたことがある方も多いでしょう。

パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレは、国際ゲーム・フェスティバルやサミットなど幅広く利用される会議場です。

カンヌ国際映画祭の作品は面白くない?審査基準や出品要件を紹介

カンヌ国際映画祭の作品は面白くない?審査基準や出品要件を紹介

カンヌ国際映画祭の審査で重視されるのは「芸術性」であり、エンタメ性があるとは限らないため、「面白くない」と感じる場合があるのも事実です。

芸術性が評価されるのは、カンヌ国際映画祭の審査員が映画監督・俳優・批評家などの映画や文化に関わる人々で構成されている背景があります。

また、カンヌ国際映画祭の出品要件は、以下の通りです。

分類作品の時間
長編部門オフィシャルセレクション:60分以上
監督週間:60分以上
批評家週間:60分以上
中編部門監督週間:30〜59分
短編部門オフィシャルセレクション:60分以上
監督週間:29分以下
批評家週間:60分未満
学生部門オフィシャルセレクション:60分以下

オフィシャルセレクションの学生部門を除いては、原則前年の5月15日以降に完成した作品を対象としています。

さらに、カンヌ国際映画祭には「インターナショナルプレミア」というプレミア規定があり、以下の通りです。

分類内容
オフィシャルセレクション長編部門国際映画祭での上映・インターネット配信・DVD販売した作品は応募不可(製作国内外を問わない)
オフィシャルセレクション短編部門国際映画祭での上映・インターネット配信した作品は応募不可(製作国内外を問わない)

「インターナショナルプレミア」とは、制作国以外での初上映のことを指します。つまり、カンヌ国際映画祭に出品される作品は、ほぼ初公開です。

北野武監督の「首」も2023年のカンヌ国際映画祭が世界初上映でした。

参考元:ORICON NEWS|北野武監督『首』カンヌで世界初上映 西島秀俊「胸がいっぱい」、中村獅童は「思った以上の笑い」に安堵

カンヌ国際映画祭の部門一覧

カンヌ国際映画祭の部門一覧

カンヌ国際映画祭の部門一覧は、以下の通りです。

分類部門内容
オフィシャルセレクションコンペティション部門パルム・ドール(最高賞)
グランプリ(最高賞に次ぐ賞)
監督賞
男優賞
女優賞
脚本賞
審査員賞
オフィシャルセレクションある視点部門最優秀作品賞など
オフィシャルセレクション短編部門短編映画パルム・ドール
オフィシャルセレクション学生部門(シネファウンデーション)
監督週間芸術映画賞
SACD賞
ヨーロッパ・シネマ・ラベル賞
イリー短編映画賞
批評家週間ネスプレッソ大賞
フランス4ヴィジョナリー賞
SACD賞
ライカ・シネディスカヴァリー短編映画賞

その他にも、5年刻みで実施している「記念賞」や技術賞である「バルカン賞」など、さまざまな賞があります。

カンヌ国際映画祭で知っておきたい部門

カンヌ国際映画祭で知っておきたい部門は、以下の2つです。

カンヌ国際映画祭で知っておきたい部門
  • コンペティション部門
  • ある視点部門

それぞれの項目について、解説します。

コンペティション部門

コンペティション部門はカンヌ国際映画祭主催によるオフィシャルセレクションの中に設置されており、メインとなる部門です。

一般的にはコンペティション部門は、国内外から集まった作品を著名な審査員が評価を行うため、受賞した作品は権威を与えられ、付加価値が高まります。

カンヌ国際映画祭のコンペティション部門の内容をおさらいしましょう。

カンヌ国際映画祭のコンペティション部門
  • パルム・ドール(最高賞)
  • グランプリ(最高賞に次ぐ賞)
  • 監督賞
  • 男優賞
  • 女優賞
  • 脚本賞
  • 審査員賞

「グランプリ」が最高賞であった時代もありますが、現在では「パルム・ドール」が最高賞となっています。

「パルム・ドール」、は日本語にすると「黄金のシュロ(ナツメヤシ)」です。

シュロ(ナツメヤシ)の葉はカンヌ市の市章にも描かれており、勝利を意味する象徴でもあります。

グランプリを超える「パルム・ドール」…おそるべし!

ある視点部門

ある視点部門はコンペティション部門同様に、オフィシャルセレクションの中に設置されている部門で、独自で特異な作品がラインナップされます。

ある視点部門は革新的で大胆な作品を推奨することを目的としており、先鋭的な作品や若い才能を発掘する機会となっているのも特徴です。

作品賞以外にも、審査員賞・男優賞・女優賞などが選出されるケースも。

日本人では、黒沢清監督の「トウキョウソナタ(2008年)」「岸辺の旅(2015年)」で審査員賞や監督賞を受賞しています。

コンペティション部門ばかりに目が行ってしまう自分を反省…!

▼映画の知っておきたい基礎知識についてまとめた他の記事は、こちら。

カンヌ国際映画祭の受賞作品

カンヌ国際映画祭の受賞作品

カンヌ国際映画祭の受賞作品を、以下の年別に紹介します。

カンヌ国際映画祭の受賞作品
  • 第76回カンヌ国際映画祭(2023年)
  • 第75回カンヌ国際映画祭(2022年)

映画祭で評価された作品を見たいという方は、ぜひ参考にしてください。

第76回カンヌ国際映画祭(2023年)

第76回カンヌ国際映画祭(2023年)の受賞作品は、以下の通りです。

コンペティション部門受賞作品・受賞者
パルムドール落下の解剖学(ジュスティーヌ・トリエ)
グランプリ関心領域(ジョナサン・グレイザー)
監督賞トラン・アン・ユン(ポトフ 美食家と料理人)
審査員賞枯れ葉(アキ・カウリスマキ)
脚本賞坂元裕二(怪物)
女優賞メルベ・ディズダル(アバウト・ドライ・グラシズ)
男優賞役所広司(PERFECT DAYS)

パルムドールを受賞した「落下の解剖学(ジュスティーヌ・トリエ)」は、ゴールデングローブ賞では脚本賞と最優秀非英語映画賞を受賞し、世界的な評価と注目が高まっています。

フランスでは公開5週目に観客動員数100万人を越える大ヒットを記録し、日本では2024年2月23日公開です。

また、ある視点部門では「How to Have Sex(モリー・マニング・ウォーカー)」が最優秀作品賞を受賞しました。

引用元:Yahoo!ニュース|パルムドール受賞。アカデミー賞最有力の呼び声も高い『落下の解剖学』

▼ゴールデングローブ賞についてまとめた記事は、こちら。

第75回カンヌ国際映画祭(2022年)

第75回カンヌ国際映画祭(2022年)の受賞作品は、以下の通りです。

コンペティション部門受賞作品・受賞者
パルムドール逆転のトライアングル(リューベン・オストルンド)
グランプリCLOSE クロース(ルーカス・ドン)
Stars at Noon(クレール・ドゥニ)
監督賞パク・チャヌク(別れる決心)
審査員賞帰れない山(帰れない山 シャルロッテ・ファンデルメールシュ/フェリックス・バン・ヒュルーニンゲン)
EO イーオー(イエジー・スコリモフスキ)
脚本賞タリク・サレ(Walad Min Al Janna
女優賞ザーラ・アミール・エブラヒミ(聖地には蜘蛛が巣を張る)
男優賞ソン・ガンホ(ベイビー・ブローカー)
第75回記念賞トリとロキタ(ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック ダルデンヌ)

パルムドールを受賞した「逆転のトライアングル」は、アカデミー賞の作品賞・監督賞・脚本賞にもノミネートされました。

グランプリは「CLOSE クロース」「Stars at Noon」の2作品が受賞しており、1作品には限らないというのも特徴です。

また、ある視点部門では「最悪な子どもたち(リーズ・アコカ/ロマーヌ・ゲレ)」が最優秀作品賞を受賞しています。

▼アカデミー賞についてまとめた記事は、こちら。

国際映画祭・アワードの年間スケジュール

国際映画祭・アワードの年間スケジュール

国際映画祭・アワードの年間スケジュールは、以下の通りです。

映画賞の年間スケジュール
  • 1月:ゴールデングローブ賞・サンダンス映画祭
  • 2月:ベルリン国際映画祭
  • 2〜3月:英国アカデミー賞
  • 2〜3月:アカデミー賞・ゴールデンラズベリー賞
  • 5月:カンヌ国際映画祭
  • 8〜9月:ヴェネチア国際映画祭
  • 9月:トロント国際映画祭
  • 10月:東京国際映画祭・モントリオール世界映画祭

カンヌ国際映画祭を含めて上半期は有名な国際映画祭・アワードが目白押しで、特に年明けから3月まではゴールデングローブ賞とアカデミー賞が開催されます。

「名作を見たい」「評価の高い作品を見たい」といった場合には、受賞作品を見るのがおすすめです。

また、日本では製作国と時間差で公開されるケースが多く、受賞を確認してから劇場で見れるのも嬉しいポイント。

3月前後はワクワクが止まらない映画好きも多いでしょう。

▼映画祭一覧やスケジュールについてまとめた記事は、こちら。

まとめ

カンヌ国際映画祭とはまとめ

カンヌ国際映画祭とは世界三大映画祭の1つで、毎年5月にフランスの都市・カンヌで開催されます。

オフィシャルセレクション・監督週間・批評家週間の3つで構成されており、国際映画見本市の「マルシェ・デュ・フィルム」が同時開催されるのも特徴です。

また、オフィシャルセレクションで注目したいのは、メインとなる「コンペティション部門」と独自性・特異性を評価する「ある視点部門」の2つ。

評価の高い作品を見たい場合には、カンヌ国際映画祭の受賞作品をチェックするのもおすすめです。

今回の記事を、映画ライフを楽しむ参考にしてください。

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