カンヌ国際映画祭とは?面白くない?コンペティション部門など各賞も解説

カンヌ国際映画祭とは?面白くない?コンペティション部門など各賞も解説 映画

カンヌ国際映画祭って、どんな映画祭なの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。

毎度のことながら、「スゴイ」ってことだけは知っている!

結論、カンヌ国際映画祭」とは世界三大映画祭の1つで、毎年5月にフランスの都市・カンヌで開催されます。

国際的な映画祭について理解を深めておけば、今後の映画ライフが充実すること間違いなし。

そこで今回は、カンヌ国際映画祭の概要や受賞部門について解説します。国際映画祭・アワードの年間スケジュールについても紹介するので、参考にしてください。

POINT
  • 「カンヌ国際映画祭」とは、毎年5月にフランスの都市・カンヌで開催される世界三大映画祭の1つです。国際映画見本市の「マルシェ・デュ・フィルム」が同時開催されます。
  • カンヌ国際映画祭の審査で重視されるのは「芸術性」で、審査員は映画監督・俳優・批評家などの映画や文化に関わる人々で構成されています。
  • 2023〜2025年の3年間におけるカンヌ国際映画祭の受賞作品を紹介します。
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カンヌ国際映画祭とは【特徴】

カンヌ国際映画祭とは【特徴】

カンヌ国際映画祭とは、以下の特徴があります。

カンヌ国際映画祭
1946年に開始した世界三大映画祭の1つで、毎年5月にフランスの都市・カンヌで開催される

審査員は映画監督・俳優・批評家などの映画や文化に関わる著名人が務め、映画祭の構成要素は以下の3つです。

カンヌ国際映画祭の構成
  • オフィシャルセレクション(カンヌ国際映画祭主催)
  • 監督週間(フランス監督協会主催)
  • 批評家週間(フランス映画批評家組合主催)

また、およそ800社が参加する国際映画見本市の「マルシェ・デュ・フィルム」が同時開催されるのも特筆すべきポイントです。

「マルシェ・デュ・フィルム」は世界三大マーケットのことで、映画祭・マーケットの詳細は以下のとおりとなります。

世界三大映画祭世界三大マーケット
カンヌ国際映画祭(フランス)
ベルリン国際映画祭(ドイツ)
ヴェネツィア国際映画祭(イタリア)
マルシェ・デュ・フィルム(フランス)
MIFED(イタリア)
アメリカン・フィルム・マーケット(アメリカ)

世界三大映画祭と世界三大マーケットを同時に実施するのはカンヌ国際映画祭のみです。映画祭自体も権威あるイベントですが、世界三大マーケットを一緒に開催することで世界中のマスコミ・メディアが注目します。

また、メイン会場はパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ(Palais des Festivals et des Congrès)という会議場。

俳優や監督などが歩く正面玄関のレッドカーペットはカンヌ国際映画祭の顔ともいえる存在で、メディアで見かけたことがある方も多いでしょう。

パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレは、国際ゲーム・フェスティバルやサミットなど幅広く利用される会議場です。

審査基準・出品要件

カンヌ国際映画祭の審査で重視されるのは、「芸術性」です。

芸術性が評価されるのは、カンヌ国際映画祭の審査員が映画監督・俳優・批評家などの映画や文化に関わる人々で構成されている背景があります。また、カンヌ国際映画祭の出品要件は、以下のとおりです。

分類作品の時間
長編部門オフィシャルセレクション:60分以上
監督週間:60分以上
批評家週間:60分以上
中編部門監督週間:30〜59分
短編部門オフィシャルセレクション:60分以上
監督週間:29分以下
批評家週間:60分未満
学生部門オフィシャルセレクション:60分以下

オフィシャルセレクションの学生部門を除いては、原則前年の5月15日以降に完成した作品を対象としています。

さらに、カンヌ国際映画祭には「インターナショナルプレミア」というプレミア規定があり、以下のとおりです。

分類内容
オフィシャルセレクション長編部門国際映画祭での上映・インターネット配信・DVD販売した作品は応募不可(製作国内外を問わない)
オフィシャルセレクション短編部門国際映画祭での上映・インターネット配信した作品は応募不可(製作国内外を問わない)

「インターナショナルプレミア」とは、制作国以外での初上映のことを指します。つまり、カンヌ国際映画祭に出品される作品は、ほぼ初公開です。

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カンヌ国際映画祭の部門一覧

カンヌ国際映画祭の部門一覧

カンヌ国際映画祭の部門一覧は、以下のとおりです。

分類部門内容
オフィシャルセレクションコンペティション部門パルム・ドール(最高賞)
グランプリ(最高賞に次ぐ賞)
監督賞
男優賞
女優賞
脚本賞
審査員賞
オフィシャルセレクションある視点部門最優秀作品賞など
オフィシャルセレクション短編部門短編映画パルム・ドール
オフィシャルセレクション学生部門(シネファウンデーション)
監督週間芸術映画賞
SACD賞
ヨーロッパ・シネマ・ラベル賞
イリー短編映画賞
批評家週間ネスプレッソ大賞
フランス4ヴィジョナリー賞
SACD賞
ライカ・シネディスカヴァリー短編映画賞

その他にも、5年刻みで実施している「記念賞」や技術賞である「バルカン賞」など、さまざまな賞があります。

チェックしておきたい部門

カンヌ国際映画祭でチェックしておきたい部門は、以下の2つです。

チェックしておきたい部門
  • コンペティション部門
  • ある視点部門

それぞれの項目について、解説します。

コンペティション部門

コンペティション部門はカンヌ国際映画祭主催によるオフィシャルセレクションの中に設置されており、メインとなる部門です。

一般的にはコンペティション部門は、国内外から集まった作品を著名な審査員が評価を行うため、受賞した作品は権威を与えられ、付加価値が高まります。

カンヌ国際映画祭のコンペティション部門の内容をおさらいしましょう。

カンヌ国際映画祭のコンペティション部門
  • パルム・ドール(最高賞)
  • グランプリ(最高賞に次ぐ賞)
  • 監督賞
  • 男優賞
  • 女優賞
  • 脚本賞
  • 審査員賞

「グランプリ」が最高賞であった時代もありますが、現在では「パルム・ドール」が最高賞となっています。

「パルム・ドール」、は日本語にすると「黄金のシュロ(ナツメヤシ)」です。シュロ(ナツメヤシ)の葉はカンヌ市の市章にも描かれており、勝利を意味する象徴でもあります。

グランプリを超える「パルム・ドール」…おそるべし!

ある視点部門

ある視点部門はコンペティション部門同様に、オフィシャルセレクションの中に設置されている部門で、独自で特異な作品がラインナップされます。

ある視点部門は革新的で大胆な作品を推奨することを目的としており、先鋭的な作品や若い才能を発掘する機会となっているのも特徴です。

作品賞以外にも、審査員賞・男優賞・女優賞などが選出されるケースも。日本人では、黒沢清監督の「トウキョウソナタ(2008年)」「岸辺の旅(2015年)」で審査員賞や監督賞を受賞しています。

コンペティション部門ばかりに目が行ってしまう自分を反省…!

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カンヌ国際映画祭の受賞作品【過去3年分】

カンヌ国際映画祭の受賞作品【過去3年分】

カンヌ国際映画祭の受賞作品を、以下の過去3年分について紹介します。

カンヌ国際映画祭の受賞作品
  • 第78回カンヌ国際映画祭(2025年)
  • 第77回カンヌ国際映画祭(2024年)
  • 第76回カンヌ国際映画祭(2023年)

映画祭で評価された作品を見たいという方は、ぜひ参考にしてください。

第78回カンヌ国際映画祭(2025年)

第78回カンヌ国際映画祭(2025年)の受賞作品は、以下のとおりです。

コンペティション部門受賞作品・受賞者
パルムドールUn simple accident(ジャファル・パナヒ)
グランプリセンチメンタル・バリュー(ヨアキム・トリアー)
監督賞クレベール・メンドンサ・フィリオ(O Agente Secreto)
審査員賞Sirat(オリバー・ラクセ)
Sound of Falling(マシャ・シリンスキ)
脚本賞ジャン=ピエール・ダルデンヌ
リュック・ダルデンヌ(ヤング・マザーズ)
女優賞ナディア・メリティ(La petite derniere)
男優賞ワグネル・モウラ(O Agente Secreto)
特別賞レザレクション(ビー・ガン)

2025年のパルムドールに選ばれた「Un simple accident」は、日本では「シンプルな事故」「シンプル・アクシデント」などという題名で報じられており、不当に看守によって拷問を受けた人々が復讐をしようとする姿を描きました。

日本人では、早川千絵監督の「ルノワール」がコンペティション部門にノミネート。

オーディションで抜擢された鈴木唯をはじめとして、石田ひかり・リリー・フランキー・河合優実・坂東龍汰らが出演しています。

第77回カンヌ国際映画祭(2024年)

第77回カンヌ国際映画祭(2024年)の受賞作品は、以下のとおりです。

コンペティション部門受賞作品・受賞者
パルムドールANORA アノーラ(ショーン・ベイカー)
グランプリ私たちが光と想うすべて(パヤル・カパーリヤー)
監督賞ミゲル・ゴメス(グランドツアー)
審査員賞エミリア・ペレス(ジャック・オーディアール)
脚本賞コラリー・ファルジャ(サブスタンス)
女優賞アドリアーナ・パス
ゾーイ・サルダナ
カルラ・ソフィア・ガスコン
セレーナ・ゴメス(エミリア・ペレス)
男優賞ジェシー・プレモンス(憐れみの3章)
特別賞モハマド・ラスロフ(聖なるイチジクの種)

2024年のパルムドールに選出されたのは「ANORA アノーラ」で、アカデミー賞でも作品賞を受賞しています。

また、カンヌ国際映画祭で審査員賞・女優賞を受賞した「エミリア・ペレス」や脚本賞に輝いた「サブスタンス」は、アカデミー賞の作品賞にノミネートされた作品です。

第76回カンヌ国際映画祭(2023年)

第76回カンヌ国際映画祭(2023年)の受賞作品は、以下のとおりです。

コンペティション部門受賞作品・受賞者
パルムドール落下の解剖学(ジュスティーヌ・トリエ)
グランプリ関心領域(ジョナサン・グレイザー)
監督賞トラン・アン・ユン(ポトフ 美食家と料理人)
審査員賞枯れ葉(アキ・カウリスマキ)
脚本賞坂元裕二(怪物)
女優賞メルベ・ディズダル(アバウト・ドライ・グラシズ)
男優賞役所広司(PERFECT DAYS)

パルムドールを受賞した「落下の解剖学(ジュスティーヌ・トリエ)」は、ゴールデングローブ賞では脚本賞と最優秀非英語映画賞を受賞し、世界的な評価と注目が高まっています。

フランスでは公開5週目に観客動員数100万人を越える大ヒットを記録し、日本では2024年2月23日公開です。

また、ある視点部門では「How to Have Sex(モリー・マニング・ウォーカー)」が最優秀作品賞を受賞しました。

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カンヌ国際映画祭の受賞作品【歴代のパルムドール】

カンヌ国際映画祭の受賞作品【歴代のパルム・ドール】

カンヌ国際映画祭の受賞作品で、歴代のパルムドールに輝いた作品を紹介します。

パルムドール作品
2025Un Simple accident
2024ANORA アノーラ
2023落下の解剖学
2022逆転のトライアングル
2021TITANE チタン
2020
2019パラサイト 半地下の家族
2018万引き家族
2017ザ・スクエア 思いやりの聖域
2016わたしは、ダニエル・ブレイク

2020年にパルムドールの選出がないのは、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、カンヌ国際映画祭自体の開催が中止されたためです。

パルムドール受賞作はいずれも粒ぞろいなので、鑑賞したことのない場合はぜひチェックしましょう。

ほかの賞はさておき、パルムドールの作品だけ見ておくのも◎。

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国際映画祭・アワードの年間スケジュール

国際映画祭・アワードの年間スケジュール

国際映画祭・アワードの年間スケジュールは、以下のとおりです。

開催月映画賞
1月ゴールデングローブ賞
サンダンス映画祭
2月ベルリン国際映画祭
2〜3月アカデミー賞
ゴールデンラズベリー賞
3月英国アカデミー賞
5月カンヌ国際映画祭
8〜9月ヴェネチア国際映画祭
9月トロント国際映画祭
10月東京国際映画祭
モントリオール世界映画祭

カンヌ国際映画祭を含めて上半期は有名な国際映画祭・アワードが目白押しで、特に年明けから3月まではゴールデングローブ賞とアカデミー賞が開催されます。

「名作を見たい」「評価の高い作品を見たい」といった場合には、受賞作品を見るのがおすすめ◎。

また、日本では製作国と時間差で公開されるケースが多く、受賞を確認してから劇場で見れるのも嬉しいポイント。

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カンヌ国際映画祭に関するQ&A

カンヌ国際映画祭に関するよくある質問

最後に、カンヌ国際映画祭に関するよくある質問を解説するので、疑問を解消しましょう。

カンヌ国際映画祭の作品がつまらないって本当?

カンヌ国際映画祭の作品がつまらないかどかは、個人の価値観によって異なります

カンヌ国際映画祭の審査で重視されるのは「芸術性」なので、人によっては「エンタメ性が足りない」と感じるケースも。鑑賞前に「つまらない」と決めつけるのではなく、作品を一通り見てから判断しましょう。

カンヌ国際映画祭とアカデミー賞との違いは?

カンヌ国際映画祭とアカデミー賞とでは、趣旨や開催国などの点で違いがあります

具体的には、カンヌ国際映画祭はフランスで開催される世界三大映画祭の1つで、アカデミー賞はアメリカなどの映画関係者で結成された団体・映画芸術科学アカデミー(AMPAS)による映画賞です。

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まとめ

カンヌ国際映画祭とは?まとめ

カンヌ国際映画祭とは世界三大映画祭の1つで、毎年5月にフランスの都市・カンヌで開催されます。

オフィシャルセレクション・監督週間・批評家週間の3つで構成されており、国際映画見本市の「マルシェ・デュ・フィルム」が同時開催されるのも特徴です。

また、オフィシャルセレクションで注目したいのは、メインとなる「コンペティション部門」と独自性・特異性を評価する「ある視点部門」の2つ。

評価の高い作品を見たい場合には、カンヌ国際映画祭の受賞作品をチェックしましょう。今回の記事を、映画ライフを楽しむ参考にしてください。

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