「カルト映画とはどんなもの?怖いの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。

そう、「カルト映画」と「オカルト映画」としばらく勘違いしていた。
結論、カルト映画とは特定の人々から熱狂的な支持を受ける映画のことです。紛らわしい言葉もあり、つい知ったつもりで使用して恥ずかしい思いはしたくないもの。
そこで今回は、カルト映画とは?をテーマに定義や魅力を徹底解説します。カルト映画のおすすめ作品や1度は見ておくべき伝説作品についても紹介するので、参考にしてください。
- 「カルト映画」とは、一部のマニアや愛好家から熱狂的な支持を受ける映画を意味します。オカルト映画・ホラー映画との違いも解説するので、チェックしましょう。
- 「心の底からくだらない!清々しい気持ちになれる」など、カルト映画の魅力を紹介します。
- カルト映画のおすすめ作品や1度は見ておくべき伝説的な作品もお伝えするので、参考にしてください。
カルト映画とは

「カルト映画」とは、以下のような意味を持っています。
カルト映画
一部のマニアや愛好家から熱狂的な支持を受ける映画のこと
なお、「カルト(cult)」は「熱狂的な崇拝またその集団」を表す英語です。カルト映画には、以下のようにおおまかに2種類のパターンがあります。
- 人を選ぶようなストーリー・表現であって万人受けはしないマイナー作品
- 広く知られている作品だが、一部のファンが倒錯的に支持している作品
「カルト映画」という場合の多くは前者のマイナー作品を指す傾向にあり、「カルトシネマ」や「カルトムービー」とも呼ばれています。
また、思わず人に話したくなるような印象的なエピソードや逸話をあわせ持っているのも特徴です。
カルト映画の幅は広く、低予算な映画・低俗とされる映画から古典映画、世界的にも有名な監督が撮った映画までさまざまです。マイナーといえども大きな影響力を持つ作品も多く、オマージュ元となっているケースも珍しくはありません。

何だかとっても雑なんだけど、何だかとっても愛おしさが…半端じゃない!
オカルト映画・ホラー映画との違い
カルト映画・オカルト映画・ホラー映画との違いは、以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
カルト映画 | ・一部のマニアや愛好家から熱狂的な支持を受ける映画 ・作品ジャンルは関係ない |
オカルト映画 | ・超常現象や超能力などの不可思議な現象を描いた映画 ・作品ジャンルの一種 |
ホラー映画 | ・観客に恐怖や不安などを味わせることを主眼においた映画作品 ・作品ジャンルの一種 |
カルト映画はジャンルレスで熱狂的な指示を受ける作品を指しますが、オカルト映画・ホラー映画は作品ジャンルを指します。
つまり、一部から熱狂的な指示を受けている作品は、オカルト映画・ホラー映画でもカルト映画といえます。
カルト映画の魅力!くだらなさと愛おしさの果てに

カルト映画の魅力は、以下のとおりです。
- 無性に見たくなる面白さがある
- 心の底からくだらない!清々しい気持ちになれる
- 熱狂注意?十人十色の楽しみ方がある
「カルト映画を見る前にどんな魅力があるのか知りたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
魅力①無性に見たくなる面白さがある
カルト映画は、楽しい作品であれ、怖い作品であれ、無性に見たくなる面白さがあるのが魅力です。
単に個人的なツボにハマるというだけではなく、中二病を妙にくすぐられたり、これまた妙な愛おしさを感じたりするシーンや設定があり、マニアたちを惹きつけます。
トラウマに近い作品であっても、なぜか「また見よう」と思わせる不思議な引力があるといえるでしょう。また、他では感じられないカルト映画にしかない独特の世界観や表現があり、何度も見たくなります。

いつまでも消費しきれない謎さ。そして、あの…絶妙な「雑さ」と「丁寧さ」…!ただのB級やメジャー作品とはいえない。
魅力②心の底からくだらない!清々しい気持ちになれる
カルト映画には、「とりあえず知性は置いておこ!」「感覚と直感だけでOK!」というノリの作品も多く、心の底からくだらなくて清々しい気持ちになれます。
たとえば、不朽の駄作とも称されるカルト映画「アタック・オブ・ザ・キラー・トマト」(1995年)は、巨大化したトマトと戦う作品ですが、そもそも「巨大化したトマト」の時点でくだらなさが確定です。
見終わった後に「時間を返して!」というB級も多いものの、カルト映画は「あー、清々しい(という気持ちになれる程にくだらなかった)」とスッキリした気分を味わえます。
ちなみに、「アタック・オブ・ザ・キラー・トマト」はその後「リターン・オブ・ザ・キラートマト」「キラートマト/決戦は金曜日」「キラートマト 赤いトマトソースの伝説」と続編が出ました。

信じられるか、こいつアニメ化やゲーム化も展開してるんだぜ…?
魅力③熱狂注意?十人十色の楽しみ方がある
カルト映画は、一部のファンやマニアによって想像を超える熱量で支持されており、十人十色の楽しみ方があるのが魅力です。
映画鑑賞に留まらず、グッズ収集・コスプレ・2次創作・ファンイベントなど楽しみ方はさまざま。そして、長期的に愛されているのも特徴です。
たとえば、最も有名なカルト映画に「スター・ウォーズ」がしばしば挙げられますが、9万点以上のグッズをコレクションしたことでギネス認定を受けた人がいたり、カルトクイズのイベント「クイザード」でテーマとして扱われたりするなど、楽しみ方も規模も世界レベル。
まさに「人生をかけて」カルト映画を楽しんでいる方もいるでしょう。

スターウォーズマニアはレベルも熱量も半端じゃない。軽々しく「スターウォーズ好きです」とは間違ってもいえない。
カルト映画のおすすめ作品

カルト映画のおすすめ作品は、以下のとおりです。
年 | 作品名 | 監督名 |
---|---|---|
1965年 | 死霊の盆踊り | エド・ウッド |
1970年 | エル・トポ | アレハンドロ・ホドロフスキー |
1971年 | 時計じかけのオレンジ | スタンリー・キューブリック |
1972年 | ピンク・フラミンゴ | ジョン・ウォーターズ |
1974年 | 悪魔のいけにえ | トビー・フーパー |
1974年 | ファントム・オブ・パラダイス | ブライアン・デ・パルマ |
1975年 | ロッキー・ホラー・ショー | ジム・シャーマン |
1975年 | デス・レース2000年 | ポール・バーテル |
1977年 | イレイザーヘッド | デイヴィッド・リンチ |
1978年 | アタック・オブ・ザ・キラー・トマト | ジョン・デ・ベロ |
1982年 | ブレードランナー | リドリー・スコット |
1987年 | 死霊のはらわたII | サム・ライミ |
1994年 | パルプ・フィクション | クエンティン・タランティーノ |
1999年 | ファイト・クラブ | デヴィッド・フィンチャー |
2000年 | メメント | クリストファー・ノーラン |
リドリー・スコットやクリストファー・ノーラン、デヴィッド・フィンチャーなど、有名監督がカルト映画を撮っていることが分かります。
ある意味でカルト映画には監督のこだわりや美学が凝縮され過ぎているために、エキセントリックになって万人受けしないともいえるでしょう。
さまざまな作品や人に影響を与えた作品が多く、たとえば押井守監督の「攻殻機動隊」を見ると、世界観はほぼブレードランナーです。その後の神山健治が監督した「攻殻機動隊 笑い男」編では、オマージュされたシーンもありました。

映画好きがカルトムービーを見ると、好きな作品に影響を与えたオマージュ元を知れるメリットもあります。
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1度は見ておくべき伝説的な作品
カルト映画にはさまざまな作品がありますが、1度は見ておくべき伝説的な作品として紹介されるのは1975年の「ロッキー・ホラー・ショー」です。
この作品以降、「カルト映画」という概念が普及していった見方もあり、2000年以後もリバイバル上映が実施されているほどです。また、以下の作品は必ずといっていいレベルで名前が挙がります。
- エル・トポ(1970年・アレハンドロ・ホドロフスキー)
- ピンク・フラミンゴ(1972年・ジョン・ウォーターズ)
- イレイザーヘッド(1977年・デイヴィッド・リンチ)
- アタック・オブ・ザ・キラー・トマト(1978年・ジョン・デ・ベロ)
ただし、カルト映画の作品は一部に熱狂的なファンがいるものの、広く需要があるわけではないため、動画配信やレンタルビデオで見つかりにくいのがネックです。
個人的には、マニアックな映画を借りるならTSUTAYAディスカスが1番使いやすいと思います。「カルト映画を見る!」と決めた一定期間に加入するのがおすすめ。

レンタルビデオ店がどんどんなくなるのも悲しい…。
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カルト映画の有名監督

カルト映画の監督として有名なのは、「イレイザーヘッド(1977年)」を撮ったデイヴィッド・リンチで、「カルトの帝王」とも呼ばれています。
イレイザーヘッドはリンチが5年がかりで1人で製作しており、監督以外にも脚本・編集・美術なども担当。また、リンチの長篇映画デビュー作品となります。
「意味が分からな過ぎて最高」「独特な狂気の世界観が堪らない」と今まなおファンをつくり続けている作品です。
イレイザーヘッド以外にも難解でオリジナリティあふれる作品が多く、「マルホランド・ドライブ(2001年)」もカルト映画とされています。デイヴィッド・リンチのその他の監督作品は、以下のとおりです。
- エレファント・マン(1980年)
- デューン/砂の惑星(1984年)
- ブルーベルベット(1986年)
- ワイルド・アット・ハート(1990年)
- ツイン・ピークス(テレビ版・1990〜1991年)
「ブルーベルベット(1986年)」や「ツイン・ピークス(1990〜1991年)」が有名で、「ツイン・ピークス」では本人も出演しています。

ツイン・ピークスのゴードン役大好きだった。リンチが亡くなったときの悲しさといったら…!
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カルト映画に関するQ&A

最後に、カルト映画に関するよくある質問を解説するので、疑問を解消しましょう。
カルト的人気ってどんな感じ?
「カルト的人気」とは、あるジャンルで広く人気はないものの、一部の層から熱狂的な人気がある状態です。
マニアックな映画やアニメだけではなく、近年ではYouTuberなどの配信者も一定層から高い指示を受けており、カルト的人気があるといえるでしょう。
カルト映画の代表作は?
カルト映画の代表作にはさまざまな作品がありますが、「ロッキー・ホラー・ショー」や「イレイザーヘッド」などが挙げられます。
代表作をチェックすれば、カルト映画の特徴の片鱗をつかめるかもしれません。
まとめ

「カルト映画」とは、一部のマニアや愛好家から熱狂的な支持を受ける映画のことを指します。主にマイナー作品を意味しますが、一部のファンが倒錯的に支持している場合にはメジャーな作品も含まれるのが特徴です。
カルト映画の作品例には、「ロッキー・ホラー・ショー」「アタック・オブ・ザ・キラー・トマト」「イレイザーヘッド」などがあります。
また、カルト映画の監督として有名なのは、「イレイザーヘッド」を撮ったデイヴィッド・リンチです。なかなか配信に作品がない場合もあるので、ラインナップ豊富な宅配レンタルを利用するのもおすすめ。
今回の記事を、映画ライフを楽しむ参考にしてください。
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