「本を再読する意味ってあるの?」「効果を知ってから再読したい」と考える方も多いでしょう。
効果が実感できないと、読書に対するモチベーションが下がる…!
結論、再読には内容・知識が定着したり、新しい見方ができたりする効果があります。
何となく読み始めるよりは、効果を事前に把握してから再読したほうが、充実した読書の時間を過ごすことが可能です。
そこで今回は、本を再読する効果とメリットについて解説するので、参考にしてください。
本を再読する効果
再読とは、その名の通り過去に読んだ本をもう1度読み直すことです。
本を再読する効果は、以下の通りとなります。
1つでも魅力的だと感じたら、再読に取り組んでみるのがおすすめです。
効果①物語の内容や知識が定着する
再読する効果1つ目は、「物語の内容や知識が定着する」ところ。
人間は時間が経つと物語の登場人物や内容、知識を忘れてしまうため、再読することで定着を図れます。
反復しない場合に覚えた事柄を忘れていくスピードは、以下の通りです。
- 1時間で56%を忘れる
- 9時間で64%を忘れる
- 6日後には75%忘れる
最終的に長期記憶に残るのは20%程度とされているので、よほど印象に残っていない限りは、読んだ内容をほとんど覚えていないといえます。
友人と同じ本を読んでいても、タイミングが異なると「あれ?そんな展開だっけ?」と思うこともしばしば。
再読によって、忘れてしまっていた細かな展開や人物関係などの内容を思い出せるでしょう。
参考元:速読と記憶法の専門スクール日本速読・記憶法セミナー|一度に記憶できる量と忘れる速度は誰でも同じ
効果②新しい見方ができる
再読する効果2つ目は、「新しい見方ができる」点。
再読するタイミングにもよりますが、読み手の環境が変化したり、人生経験を積んでいたりするため、読破した当時とは違った新しい見方ができます。
特に数年や数十年経ってから読み直すと、自身の変化が顕著なので、見方が変わっているのに実感しやすいもの。
個人的に実感したのは、大学生活を描いた伊坂幸太郎の「砂漠」でした。
高校生のときに初めて読んだときは「(面白いものの)ふーーーん」という感じでしたが、社会人になってから読むと「何てこと!共感が過ぎる!」とかなり見方が変わりました。
「学生諸君、大学生活を大切にするのだよ…」と謎の年上目線にもなるという。
「再読」と聞くと新鮮さがないようなイメージもありますが、時間が経てば経つほど、新たな気持ちで読めるでしょう。
▼「砂漠」が気になる方は、こちらをチェック。
効果③深い視点で動機付けができる
再読する効果3つ目は、「深い視点で動機付けができる」ところ。
結末を知っているため、登場人物が「何故このセリフを言うか?」「この行動を起こすか?」という動機付けを深い視点から行えます。
初めて読む本は「あの場面のあのセリフがあった気がする」と比較的曖昧な振り返りしかできません。
一方で、再読の場合には「このセリフがあの行動に繋がるのか」と納得感を強く持てます。
先日、夏目漱石の「こころ」を再読した際に、特にKの死んだ理由について初めて読んだときよりも動機付けが深くなったことを実感。
当初は「恋に敗れたからか?」と単純に思っていましたが、Kの個性・出自や先生との関係性を踏まえて、だいぶ考え方が変わりました。
10年前のままの認識だったら、超絶に浅かった…あんなに良い作品なのに。
再読した効果を感じる本が1冊でもできれば、定期的に再読する習慣を身につけられるでしょう。
▼「こころ」が気になる方は、こちらをチェック。
▼純文学についてまとめた他の記事は、こちら。
本を再読するメリット
本を再読するメリットは、以下の通りです。
「再読する前にメリット知りたい」「改めてメリットを確認したい」という方は、ぜひ参考してください。
メリット①比較的短時間で1冊読める
本を再読するメリット1つ目は、「比較的短時間で1冊読める」ところ。
1回読んでいる作品は大まかな物語や作風を理解しているため、比較的短い時間で読めるのがメリットです。
最初はキャラクターや設定を思い出すのに時間を必要とする場合もありますが、ある程度読めばスイスイと進められるでしょう。
また、久しぶりに読書をしたり、箸休め的な作品を探したりする際にも役立ちます。
読破している経験があると「読み切れるかな?」という不安がないのも魅力。
「時間はないけど、何か読みたい」といった場合にも、再読が向いているといえます。
メリット②面白いことが約束されている
本を再読するメリット2つ目は、「面白いことが約束されている」点。
未読の作品は面白いかどうか判断するのは難しいですが、再読であれば面白いことが約束されているので安心して読めます。
また、時間が経過しており、「面白いのは覚えているけど内容は思い出せない」という場合には読みどきです。
本棚を漁ったら、意外と「こんな作品あったな」という発見があるかも。
「つまらない作品が続いている…」「本選びが迷走している」と感じる際にも、原点回帰という意味で再読してみるのがおすすめです。
メリット③作家の別作品を読むきっかけになる
本を再読するメリット3つ目は、「作家の別作品を読むきっかけになる」ところ。
面白いと分かっていても1冊で止まっている作家がいる際には、再読をきっかけに違う作品を読む場合もあるでしょう。
「好きな作家を見つけたい」「作家にこだわりがなくて多読になっているのが気になる」という方にも役立ちます。
再読終了後に、文庫の巻末に付属している作家の作品欄から広がりをみせることもしばしば。
また、作品の中で引用されている別作品や、資料にした作品リストから新しい本を見つけるケースもあります。
何度も読む本にはどんな作品がある?
ソニーが提供する電子書籍のオンラインストア「リーダーストア」では、「今までで一番読み返している本」のアンケートを実施しており、結果は以下の通りです(小説のみ抜粋)。
- 本好きの下剋上(香月美夜)
- 銀河英雄伝説(田中芳樹)
- 三国志(吉川英治)
- 図書館戦争(有川浩)
- シャーロック・ホームズの冒険(コナン・ドイル)
- 水滸伝(北方謙三)
- 赤毛のアン(モンゴメリ)
- 星の王子さま(サン=テグジュペリ)
- 竜馬がゆく(司馬遼太郎)
ラノベから時代小説、海外文学までさまざまなラインナップがあり、何度も読む本は人それぞれ。
個人的に過去再読した作品は、サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」や夏目漱石「こころ」「それから」などです。
再読する理由は作品によって異なり、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」の場合は、映画にたびたび登場するので参考のために再読しました。
「一度読んだから」と頭から避けるのではなく、再読を上手く織り混ぜながら読書に取り組むのがおすすめです。
参考元:ソニーストア|“今までで一番読み返している本”アンケート結果発表!
▼読書についてまとめたその他の記事は、こちら。
まとめ
本を再読する効果・メリットを、おさらいしましょう。
- 物語の内容や知識が定着する
- 新しい見方ができる
- 深い視点で動機付けができる
- 比較的短時間で1冊読める
- 面白いことが約束されている
- 作家の別作品を読むきっかけになる
効果やメリットを把握しておけば、さらに充実した読書時間を過ごせるでしょう。
また、何度も読む本として田中芳樹の「銀河英雄伝説」や吉川英治の「三国志」など、アンケート結果から作品を紹介しました。
今回の記事を、読書ライフを楽しむ参考にしてください。
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