紙製の表紙で本文を包み、背表紙の部分を接着剤で綴じる方法を「ペーパーバック」と呼びます。

ペーパーバックといえば、「洋書」と「コンビニコミック」!
ペーパーバックと同じ製本方法には「無線綴じ」や「ソフトカバー」も含まれており、文庫本や新書など広く利用されているのが特徴です。
そんな「ペーパーバック」とは何かを正しく理解しておけば、本を購入する際にもスムーズ◎。
そこで今回は、ペーパーバックの意味やほかの本との違いを解説します。ペーパーバックを選ぶメリットについても紹介するので、参考にしてください。
- 「ペーパーバック」とは、紙製の表紙で本文をくるんで、背表紙の部分を接着剤で綴じた本を意味します。
 - ペーパーバックと単行本・文庫本・ハードカバーとの違いを解説するので、それぞれの相違点をチェックしましょう。
 - ペーパーバックの洋書感が堪らない「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」を紹介します。
 
ペーパーバックとは【意味】

「ペーパーバック」とは、以下のような意味があります。
ペーパーバック
紙製の表紙で本文をくるんで、背表紙の部分を接着剤で綴じた本のこと
ソフトカバー・無線綴じ・くるみ製本・並製本は、ペーパーバックと同じ製本方法です。また、以下の冊子は、ペーパーバックが利用されています。
- 論文集・報告書
 - 小説
 - 資料集・教科書
 - テキスト冊子
 - カタログ
 
なお、出版業界では洋書などのカバーのない並製本のことを、ペーパーバックと呼ぶ傾向にあります。ペーパーバックのそのほかの特徴は、以下のとおりです。
ペーパーバックの特徴
・表紙が厚めのボール紙でできたハードカバーの本に比べて、費用を抑えられる
・ハードカバーよりも耐久性が劣り、扱い方や時間の経過によっては劣化する場合がある
ペーパーバックは「海外の書籍」というイメージがあるものの、日本にはコンビニで販売されている漫画などをペーパーバック化した「コンビニコミック」があります。

こちらは、私の誕生日に姉がくれたコンビニコミック。「妹の誕生日に何くれてんだ」と思いつつも、本棚のスタメンにいつも控えています。
【関連記事】文庫本とは?意味やサイズを簡単に解説!新書や単行本との違いも具体的に紹介
ペーパーバックと単行本・文庫本・ハードカバーとの違い

ペーパーバックと、以下の種類との違いを解説します。
- 単行本との違い
 - ハードカバーとの違い
 - 文庫本との違い
 
聞かれると意外と分からないもの。それぞれの違いについて、チェックしていきましょう。
単行本との違い
「単行本」とは、以下のような意味があります。
単行本
単独で発行される本のこと
単行本は「発行の形式」であり、ペーパーバックは「製本方法」なので、そもそもジャンルが異なります。

単行本の対義語は「シリーズ本」で、叢書(そうしょ)や全集などが当てはまります。
なお、漫画本だけは例外で、本来は叢書に該当しますが、雑誌に掲載した作品をまとめて出版することから「単行本」と呼ばれています。
ハードカバーとの違い
「ハードカバー」とは、以下のような意味を持ちます。
ハードカバー
硬い紙の表紙で綴じられた本のこと
ペーパーバックとハードカバーでは「表紙の厚み・柔らかさ」や「費用」などの点が異なり、ハードカバーのほうが厚みがあって費用が高額です。

先ほど紹介した「単行本」は、ハードカバーで出版されるのが一般的です。
単行本は、「ハードカバー」→「数年後に文庫化(ペーパーバック化)」の流れでしたが、近年では最初から文庫本として発売されるケースも増えています。
文庫本との違い
文庫本はペーパーバックの一種で、ペーパーバックと同様の無線綴じの方法を用いて製本します。
また、ペーパーバックの中でも、小型の叢書(そうしょ)のことを文庫本と呼びます。

文庫本はA6版で出版される傾向にあり、ペーパーバックにカバーが装着されているのが基本です。
なお、かつての文庫本は現在のようにカバーが装着されておらず、洋書のようにペーパーバックのまま流通していました。

岩波文庫によれば、カバーがつけられたのは1983年とのことで、比較的最近からだといえます。
参考元:岩波文庫|文庫豆知識
加えて、当時の文庫本は、現在の文庫本とサイズにも違いがありました。KADOKAWAによると、1949年の創刊当初の文庫サイズはB6版で、翌年の1950年にサイズをA6版にしたことで文庫ブームが起きました。
参考元:KADOKAWA|社史
【関連記事】ブックカバーはなぜつける?日本だけって本当?メリット・デメリットも解説
ペーパーバックを選ぶメリット・デメリット

ペーパーバックを選ぶメリット・デメリットを解説します。
メリット
ペーパーバックを選ぶメリットは、以下のとおりです。
- 安価で入手できる
 - 持ち運びしやすい
 - 収納性に優れている
 - 洋書気分を味わえる
 
本によっても異なりますが、ペーパーバックは安価な紙や簡便的な製本方法が採用されており、ハードカバーよりも安い金額で購入できます。
安価ではあるものの、保存の仕方次第では数十年単位で利用することが可能です。
また、文庫本であればA6サイズとコンパクトで、携帯性や収納性に優れているのもメリット◎。旅行や通勤・通学時に携帯しても邪魔にならず、比較的どこにでも持って行けます。

洋書感も堪らない…!
【関連記事】純文学と大衆文学の違いとは?芥川賞と直木賞の相違点についても解説
デメリット
ペーパーバックを選ぶと、以下のようなデメリットがあると考えられます。
- ハードカバーよりも耐久性が低く、傷みやすい
 - 紙が薄いため、湿気や水に弱い
 - 高級感やデザイン性が低いケースがある
 
上記のようなデメリットから、「長くきれいに保存したい」「デザイン性に優れた本をそろえたい」とお考えの場合はハードカバーが最適です。
ただし、ペーパーバックには「携帯性に優れている」など多くのメリットがあるため、メリット・デメリットの両方を比較しましょう。
【関連記事】本の湿気を防止するおすすめの対策6選【きれいに保管しよう】波打ち・曲がる状態の直し方も解説
ペーパーバックの洋書感が堪らない「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」

ハヤカワ・ポケット・ミステリ(通称ポケミス)とは、早川書房が1953年に創刊したミステリ・シリーズのことで、2023年で創刊70周年を迎えました。
2024年には通巻2,000番を超える予定で、世界最大のミステリ専門シリーズです。
ハヤカワ・ポケット・ミステリは、外国人がポケットにペーパーバックを入れて持ち歩いているのを、早川書房の初代社長が見たのをきっかけに創刊されたといわれています。

ちなみに、私はロス・マクドナルドのシリーズを収集中です。

洋書感を楽しめるのはもちろん、表紙のデザイン性が高く、持ち運びしやすいので「もっと流行ってもいいのに」ともいつも感じています。
【関連記事】文庫レーベルの一覧を紹介!それぞれの特徴やよくある質問も徹底解説
ペーパーバックとは?に関するQ&A

最後に、ペーパーバックとは?に関するよくある質問を解説するので、疑問を解消しましょう。
Amazonで販売している「ペーパーバック」とは何?
Amazonで販売している「ペーパーバック」とは、一般的なペーパーバックと同様に紙製の表紙で本文をくるんだ本のことです。
なお、個人的にもAmazonでペーパーバック版を購入した経験がありますが、届いた本は以下のとおりです。

【関連記事】読書の明るさはどれくらいが最適?ブックライトの選び方や実際の使用感を紹介
ペーパーバックを英語でいうと?
ペーパーバックを英語でいうと、「paperback」です。
また、ソフトカバーは「softcover」、ハードカバーは「hardcover」と表記します。
まとめ

紙製の表紙で本文をくるんで、背表紙の部分を接着剤で綴じた本のことを「ペーパーバック」と呼びます。ペーパーバックは以下のような出版物に採用されており、広く普及しています。
- 論文集・報告書
 - 小説
 - 資料集・教科書
 - テキスト冊子
 - カタログ
 
安価で入手できる、持ち運びしやすいなどのメリットがあり、日本語で書かれていても洋書感を楽しめるのが魅力です。今回の記事を、読書ライフを楽しむ参考にしてください。

  
  
  
  

コメント